麻帆良な日常

□ACT.7
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「そんな警戒すんな、オレだ、高畑飛鳥だ」

「え……。飛鳥先輩?」

「ああ」

知人とわかった瞬間警戒を解く宮崎。オレは帽子とサングラスを外し、顔がわかるようにする。

「どうして先輩がここにー」

「色々事情があってな、後で話してやる。その前に今はアスナたちを追わないといけねーんだ」

「アスナさん……? あ!」

オレの言葉で何かを思い出したのか、宮崎が過剰に反応した。

「どした?」

「ね、ネギ先生とアスナさんが困っているみたいなんです!」

「何でわかるんだ?」

「えっと……この本に浮かびあがって……」

本?
宮崎の手を見ると、ラテン語の本が一冊。ページにはアスナとクソガキの絵、それから日本語で「うえーん、助けてー」とあった。
もしかして、読心術の本か?

「アスナたちはこの先に行ったんだよな?」

「はいー……」

しゃーない、助けに行くか。

「宮崎、お前は……「わ、私も行きたいですっ」

刹那たちのところに戻れ、という言葉は宮崎の声にかき消された。その目は真剣でちょっと言ったくらいじゃ諦めそうにない。

「しょーがねえな。あんまりオレから離れんなよ」

「はい!」

仕方ない、連れて行くとすっか。





宮崎を連れて千本鳥居の中へ入ったが、どうやら陰陽術がかけられているようで、あまり進んだ感じがしない。

「宮崎、本使ってアスナかクソガキの思考読め」

「え、あ、はい。ね、ネギ先生……」

次に浮かびあがったのは、蜘蛛のような式神と、それに乗った少年の姿。おそらく関西呪術協会の刺客だろう。

「ね、ネギ先生が……っ」

宮崎は、まるで冒険小説を読むように本に夢中になっている。後ろでクソガキが戦っているが、気づいてないみたいだ。

「あ」

協会の刺客がクソガキの魔法障壁を破って一撃入れた。ちょっとマズイな……。

助けに行ってもいいが、ここで助けるのはあまりよくない。危ない時には誰かが助けてくれるなんてクソガキに思わせる訳にはいかねーし。こんぐらいのピンチが乗り越えられないヤツなら、オレはホントにこいつを見捨てる。

刹那の式神(ちびせつな)が機転をきかし、クソガキたちは一旦退いていった。
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