麻帆良な日常

□ACT.5
2ページ/6ページ

いつもの様に夕詠にツッコミを入れ、(花柄の)絆創膏を頬に貼ったり、飯食ったり色々やってるうちに新幹線の出発時間になった。
はしゃぎながら新幹線に入っていく麻帆良生徒たち。オレや夕詠もバレないように中に入った。

「ふうっ」

グリーン車に乗り込み息をつく。貸し切りだったのがキャンセルされたらしく、ほとんど人が乗っていない。

「しっかし残念だなー。ハワイ行きたかったんだけど」

「そんなにナンパしたかったんですか?」

「おう」

ビーチでナンパは定石だろやっぱ。男子クラスで行くんだし、どっかに華は必要だ。

「夕詠は楽しみじゃなかったのか?」

「修学旅行自体は楽しみでしたけど、ナンパはどうでもよかったですね。僕は夕映にしか興味ないですから」

「……」

さすがにシスコンでも問題あると思うぞ、それ。





京都に着くまでの一時間の間。何か3-Aが乗ってる車両は騒がしかった。途中、オレらが乗ってるグリーン車を知人(刹那や負け犬)が通って行ったため、バレないかと内心ビクビクしていた。

車内アナウンスで京都に着くと聞いて、オレらは降りる準備をした。
降りたら降りたでまた騒がしい。女子中学生ってこんな騒がしいものなのか?

「夕映たちは清水寺に行くみたいですが、どうします?」

「えー、清水ぅ? オレら中学の時行ったじゃん」

中三の修学旅行では京都・奈良に来た。だからだいたいの観光地は回ってるためあまり楽しみはない。

「じーさんは最低限このか嬢が連れて行かれるのを防げばいいって言ってたし、金はあるんだしどっかで適当に遊ぼーぜ」

「いいんですかね……」

「いいんだよ。さ、行くぞ」

夕詠の腕を引っ張りながら、鞄から封筒を取り出す。じーさんが宿代食事代諸々でくれた金だが、中を見て絶句した。

「じーさん……絶対金銭感覚狂ってるだろ……」

封筒の中には百万円の束が入っていた。
どれだけオレが金使うと思ってんだよ……。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ