麻帆良な日常
□ACT.2
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「ちょっといいかい、飛鳥」
「ん?」
高等部に戻ろうとしたらタカミチに呼び止められた。
「ネギ君にはもう会ったかい?」
「ああ。ナギの息子だろ」
「そうか、話が早くて助かる。ネギ君には、君がサウザントマスターの知り合いだということを伏せてくれ」
『サウザントマスター』、ナギの二つ名だ。
「安心しろよ。言うつもりはねぇし。お姫様に知られたくないしな……」
「そうか……」
何となく暗い雰囲気になるオレとタカミチ。まぁ、もう話はないみたいだし、男子高等部に戻ろう。
「じゃあなタカミチ。また今度」
「ああ。気をつけて」
さて、帰りますか。……あ。タカミチにアスナが魔法知ってる(っぽい)こと教えるの忘れてた。
……ま、いっか。
オレが教室に戻ったのはもう放課後で、教室には夕詠しかいなかった。
「二人は?」
「龍は店番です。時雨は女の子たちをふりきって帰りました。『今日は大事なデートがある!』とか」
デートね。またどうせゲームなんだろ。アイツは二次元にしか興味ないし。
「夕詠は何で残ってんだ?」
「飛鳥を待ってたんですよ。部活がないから暇なんです」
「そか。んじゃ、帰ろうぜ」
鞄を持ち、走って教室を出る。途中生活指導の新田に会い、走ってるのを怒られた。
「そういえば、何の呼び出しだったんですか?」
「あー、仕事だ。図書館島に行ってこいってヤツ」
「大変ですね。魔法生徒は」
「うるせー」
今の会話で不思議に思った人もいるかもしれないが、夕詠は魔法使いだけど、魔法生徒ではない。表向きは普通の高校生だ。夕詠が魔法使いだってことは、オレと夕詠と夕詠が『師匠(マスター)』と呼ぶ人しか知らない。
「そういえばお前、図書館探検部だったよな。手伝ってくんねえ?」
「嫌ですよ。あんな摩訶不思議な場所、行きたくありません」
「じゃあ何で探検部なんかに入ってんだ」
「決まってるでしょう。少しでも夕映といるためです」
「…………」