麻帆良な日常
□ACT.1
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「子ども先生って知ってますか?」
気だるい授業が終わって昼休み。飯を食ってる最中に夕詠が言った。
「ああ、女子中等部に新しく来た10歳の先生だろ」
龍がパンを食いながら話す。
「それは知らなかったな。どこの担任?」
「2-Aだよ」
「まじ?」
本気で知らなかった様子の時雨。つーか2-Aって時雨の妹いなかったっけ?
「妹とはメールとかしねぇの?」
「しないよ。めんどくさい」
「普通するでしょう! 僕なんか毎日メールと電話を朝昼晩かかさずにやってますよ!?」
マジ顔半ギレで叫ぶ夕詠。出たよ、超シスコンが。夕詠の妹ちゃんもかわいそうだな。
「ところで、その子ども先生がどうしたんだ、夕詠」
「あ、そうでした。その子ども先生がですね、毎晩女子寮の廊下を歩いているらしいんです。噂では補習授業とかで生徒に口では言えない教育をしてるとか……」
「いや、ないだろ。だって10歳じゃん」
夕詠の言う噂をすぐに否定する。口では言えない教育が何かはわからないけど、何にせよ10歳児がそーゆーことに興味があるとは思わない。オレですら中学生になってからだったし。
「僕もそう思います。ですが、何しろ2-A生徒から直接聞いたのです。これは確かめに行かなければ」
「で、一緒に行かないかと?」
「はい。僕たちは午後に授業がないですし」
うーむ。オレとすればどちらでも構わない。中等部に行くのは多少気が引けるが、何度か行ったことはあるし、何より女の子は好きだしな。
「俺は遠慮しておく。午後は店番があるしな」
「ボクもやめとく。女子中等部なんて死んでも御免だ」
乗り気じゃない二人。龍の店番(何の店かは気にしてはいけない)は置いといて、時雨は女子に囲まれるしな。三次元に興味ないから嫌なんだろう。オレだったら大喜びなんだが。
「オレは行ってもいいぞ」
「本当ですか? よし、では行きましょう」
「おう。じゃあな二人とも」
「ああ」
「気をつけて行けよー」