麻帆良な日常

□ACT.1
2ページ/9ページ

「子ども先生って知ってますか?」

気だるい授業が終わって昼休み。飯を食ってる最中に夕詠が言った。

「ああ、女子中等部に新しく来た10歳の先生だろ」

龍がパンを食いながら話す。

「それは知らなかったな。どこの担任?」

「2-Aだよ」

「まじ?」

本気で知らなかった様子の時雨。つーか2-Aって時雨の妹いなかったっけ?

「妹とはメールとかしねぇの?」

「しないよ。めんどくさい」

「普通するでしょう! 僕なんか毎日メールと電話を朝昼晩かかさずにやってますよ!?」

マジ顔半ギレで叫ぶ夕詠。出たよ、超シスコンが。夕詠の妹ちゃんもかわいそうだな。

「ところで、その子ども先生がどうしたんだ、夕詠」

「あ、そうでした。その子ども先生がですね、毎晩女子寮の廊下を歩いているらしいんです。噂では補習授業とかで生徒に口では言えない教育をしてるとか……」

「いや、ないだろ。だって10歳じゃん」

夕詠の言う噂をすぐに否定する。口では言えない教育が何かはわからないけど、何にせよ10歳児がそーゆーことに興味があるとは思わない。オレですら中学生になってからだったし。


「僕もそう思います。ですが、何しろ2-A生徒から直接聞いたのです。これは確かめに行かなければ」

「で、一緒に行かないかと?」

「はい。僕たちは午後に授業がないですし」

うーむ。オレとすればどちらでも構わない。中等部に行くのは多少気が引けるが、何度か行ったことはあるし、何より女の子は好きだしな。

「俺は遠慮しておく。午後は店番があるしな」

「ボクもやめとく。女子中等部なんて死んでも御免だ」

乗り気じゃない二人。龍の店番(何の店かは気にしてはいけない)は置いといて、時雨は女子に囲まれるしな。三次元に興味ないから嫌なんだろう。オレだったら大喜びなんだが。

「オレは行ってもいいぞ」

「本当ですか? よし、では行きましょう」

「おう。じゃあな二人とも」

「ああ」

「気をつけて行けよー」
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ