麻帆良な日常
□ACT.7
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三日目、今日は完全自由行動日。大阪やら奈良やら好きな場所に行ける日だ。
アスナたちの班は、特に行き先が決まってないみたいでその辺にブラブラしていた。
「計画性のない修学旅行だな……」
「まあ、本人たちが楽しければいいんじゃないですか」
そんな会話をしながらついていく。もちろん気配を消してバレないように。
アスナたちは近くのゲーセンに入って行った。……京都に来てまでゲーセンかよ。
魔法使いのゲームに図書館組が夢中になっている最中、クソガキとアスナがゲーセンから出ていった。どこ行くんだ?
「おい、刹那」
一人離れた場所にいる刹那に話しかける。
「飛鳥さん」
「今はシロだ。シロって呼べ」
「はい。それで、どうしたんですか?」
「アスナはどこに向かったんだ?」
「本山です」
本山、詠春のところか。なるほどな、親書を届けに行く訳だ。
となるとオレも向かった方がいいかも知れねーな。一応あのクソガキのサポートが仕事な訳だし、このか嬢の護衛は刹那に任せればいいだろ。
「オレも二人を追って本山に行く。このか嬢は任せるぞ、刹那」
「はい」
刹那から離れ、夕詠のいる場所に戻る。時々夕映ちゃんに向けてデジカメのシャッターをきっているが、気にしないことにしよう。俊敏過ぎて常人にはわからないし。
「夕詠、オレ本山に行くわ」
「ネギ先生たちの後を追うんですね?」
「ああ。で、だ。このか嬢は頼むな」
護衛には刹那がいるけど、多いに越したことはないし、夕詠は頼れるヤツだからな。
「わかりました。お気をつけて」
「お前もな」
そしてオレはゲーセンを飛び出した。
電車に乗って、関西呪術協会総本山前の神社へ向かう。アスナたちは一本早い電車で行ってしまったが、ガキの頃何度も通った場所だし、迷うことはない。行けば追いつくはずだ。
「ん?」
千本鳥居の前で、少女が一人立ち往生していた。あれは……宮崎、か?
「おい」
「ひあぁっ」
なんか妙な悲鳴あげられた。ちょっとショック。
「ああああの、わわ私お金も持ってませんっ」
「いや別にカツアゲしたい訳じゃねーから。落ち着けよ宮崎」
「あ、れ……私の名前……?」
しまった! つい口が滑って……。
宮崎は不審者を見る目でオレを睨んでいる。どーしよ、バラすか……?