麻帆良な日常
□ACT.4
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「あ? 修学旅行が中止!?」
吸血鬼騒動も治まり、来る学生の一大イベント『修学旅行』が近づいて来たある日、オレは学園長のじーさんに呼ばれた。そして聞いたのは衝撃的な一言。『修学旅行が中止になる』という……。
「ふざけんなぁっ! オレらはハワイに行って、ビーチでナンパしまくるって計画があるんだよ!!」
「お、落ち着くんじゃ飛鳥君」
「これが落ち着いていられるかぁ!」
怒りに身を任せ、じーさんに掴みかかる。すると急に後ろから引っ張られた。
「ぐえっ」
「まったく、少しは落ち着きなよ飛鳥」
「だってタカミチ……」
「まず相手の言い分を聞かないと、そう教えただろう?」
オレの襟を掴んだままタカミチが言う。
こういう時逆らえないのは、やっぱり育ててもらった恩があるからなのかな……。
「わかったよ。で、じーさん。詳しい話を聞かせてもらおうか」
「ああ、実はの……」
じーさんは説明を始めた。このか嬢のクラスが修学旅行で京都に行くこと。先方――関西呪術協会――がそれを拒んでいること。それから、あの負け犬を特使に選んだこと。
「それがオレにどう関係あるんだよ」
負け犬のくだりでちょっと機嫌が悪くなったため、怒ったような口調になった。
「飛鳥君にも京都へ行って欲しいんじゃ」
「はぁ? 何でオレが」
「ネギ君だけに任せるのは何かと不安での。飛鳥君なら力もあるし、サポートを十分に任せられると思ったんじゃよ」
オレがあの負け犬のサポート? 考えただけでも虫酸が走る。
「イヤだね」
「飛鳥、どうしてだい?」
「オレはあのガキが嫌いだから」
オレの一言にじーさんもタカミチも停止した。
「あれがナギの息子だなんて信じられない。ただの弱虫小僧じゃねぇか」
――だから、イヤだ。
そう告げると、じーさんは少し笑って言い返してきた。
「ネギ君はまだ10歳じゃからの、そう強くなれと言うてもなかなかなれんじゃろ。飛鳥君も麻帆良に来たばかりの時はまだ弱かったじゃろう?」
最初から強いヤツはいない。じーさんの言葉にはこういう意味が含まれてる。
わかってるさ、そんなこと。だけど、やっぱり気に入らないんだ。
「ところで、京都へ行く任務は受けてもらうつもりじゃが、いいかの?」
「よくねぇよ! イヤだって言ったろ?」
ったく、人の話聞いてないのかよ。
「しかしのぅ、この任務は飛鳥君にしか任せられんのじゃよ」
「何で」
「婿殿が希望しておる」
ジ・エーンド。
かくしてオレは京都に向かうことになった。
くそぅ、詠春め。いつかぶっとばしてやる……。