麻帆良な日常
□ACT.2
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只今テスト週間。部活もなく自由に過ごせる穏やかな数日を過ごしている。え、何? 幽霊部員に関係ないだろうって? ごもっともです。
「飛鳥、ここの問題なんだけど」
「悪い、オレもそこわかんなかったんだ。夕詠、ちょっといいか」
オレたち四人も一応勉強中。ちなみに学年順位で言えばみんな500人中100人以内には入っている。夕詠→時雨→オレ→龍の順で。
《男子高等部1年A組の高畑飛鳥君。至急学園長室まで来てください》
「……オレ?」
放送で呼ばれたのはオレの名前。何で?
「飛鳥、何したんだ?」
「知らねーよ」
「心当たりとかないの?」
心当たり、ね。ある! てかありすぎてわからん!
あれか? 喫煙がバレたとか、昨日の飲酒かな……。それともキャバクラ行ったことか?
「飛鳥」
「何、龍」
「これ持ってけ」
渡されたのは白い球状のもの。何だこりゃ。
「煙玉だ。何かから逃げる時使え」
「あー、わかった。とりあえず持ってくよ。んじゃな」
龍にもらった煙玉をポケットに突っ込み、オレは学園長室へ向かった。
「じーさん入るぞー」
返事がする前に中へ入る。だいたい学園長室を女子部につくるのがいけないんだ。視線が痛いわ!
「タカミチ! 何でここに?」
一番初めに発見したのは高畑・T・タカミチ。煙草の似合う、ダンディな感じのおっさんである。
「ちょっと話したいことがあって」
「ふーん」
オレもタカミチと話したいことはあるんだけど、まずはじーさんの用件を聞くとしよう。
「飛鳥君、君を呼んだのは図書館島へ行って欲しいからなんじゃ」
「図書館島? そりゃまた何で」
「これを貼って来て欲しいんじゃよ」
そういって学園長が取り出したのは一枚のお札。何か難しい漢字が書いてある。
「図書館島の最深部、地底図書室の湖に封印の扉があるんじゃ」
「封印の扉?」
何だそりゃ。胡散臭いな。
「そんなの魔法先生にやらせりゃいいだろ? オレは生徒だし、今テスト週間だぜ?」
「そこを何とか頼むわい」
おかしいな。わざわざオレに頼まなくても他の魔法先生がいるだろうに。
「嫌だ」
こういうのは関わらない方が身のためだ。
「そうか、残念じゃ。それなら飛鳥君が任務をサボって遊び回っているというのを婿殿に……「喜んでやらせていただきます」フォフォフォ」
くそぅ、この性悪じじいが! 詠春にチクろうとしやがって……。アイツの体罰ほど恐ろしいもんはねぇんだぞ!?
とりあえず札を受け取って学園長室を後にした。