麻帆良な日常

□ACT.1
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《ピピピピピピピ……》

朝7時、目覚まし時計の電子音でオレ――高畑 飛鳥は目を覚ます。
ベッドから身体を起こすと、見知らぬ女が隣に寝ていた。……全裸で。

――あちゃー、またやっちまったよ。酔っぱらった勢いで、どっかの誰か捕まえたんだな。

基本的によくあることだから気にしない。まぁ相手も合意の上だろうし。とりあえず飯の準備をしよう。
そしてオレは台所へと向かった。



「あれ?」

約20分後、オレが再び部屋へ戻ると、先ほどまでいた女の姿はなかった。代わりに机の上に何枚か札が置いてある。

――何、オレって買われたワケ?

金置いていってくれるのはありがたいけどさ。
でも、せっかく作ったのにな。イギリス風ブレックファスト――もとい、パンとサラダと目玉焼き。
しょうがない。一人で食うか。



二人分の朝食をペロリとたいらげ、制服に着替える。冬物の長袖ブレザーと厚手のズボン。ネクタイは窮屈だから締めない。
時刻は8時、オレは静かに家をでる。男子高等部までは徒歩10分。まだまだ時間に余裕はあるが、時間に余裕を持つのがオレのポリシーだ。


「おっ」

道を歩いていたら、見知った顔を発見した。他人の目を引く鮮やかな金髪。ひときわデカイ背丈。

「はよっ、龍」

「飛鳥か。おはよう」

こいつの名前は柏木 龍。重火器研究会の会長で、モデルガンや模造刀の販売を除けば普通の高校生だ。ちなみにオレの親友である。

「今日は一人なのか。時雨はどうしたよ」

「アイツならまだ寝てると思うぞ。昨日も遅くまでパソコンに向かっていたよう出しな」

「またかよ……」

オレの親友二号、こと長谷川 時雨は自他ともに認めるオタクである。本人は二次元にしか興味はない、とか言ってるけど、顔がいいから女子にモテる。何かファンクラブもあるとか。うらやましいヤツだ。

「飛鳥もモテるじゃないですか」

「そうだけど時雨の方がオレより遥かに……って」

勢いよく後ろを振り返れば、オレより頭一つ分小さなオレの親友三号が。名前を綾瀬 夕詠と言う。

「お前いつ来たんだよ。全然気づかなかったぞ?」

てかオレの思考読んだだろ。読心術士かこのヤロー。

「ついさっきです。あと僕、読心術とか使えませんから」

「今現在進行形で読んでるだろうが!!」


そんな感じに話していたら学校に到着。で、教室で騒いでたら始業五分前に赤い髪の男、時雨が入って来た。

「はよ、時雨」

「ああ、おはよう飛鳥。ったく、起こしてくれてもいいんじゃないか? 龍」

「遅くまでパソコンやってるお前が悪い」

「う……。それはそうだけど」

「まあまあ。とりあえず席についたらどうですか? 先生も来てるみたいですし」

夕詠の言葉通り、教室にオレらの担任。鷺沼 鉄人(サギヌマ テツト)が入ってくる。オレらは親しみを込めて『テツジン』と呼んでいるがな。
短い茶髪に同じ色の目、顔もわりと整ってるから女子にも人気がある。性格もいいし、授業もわかりやすいからオレもいい先生だと思う。……でも、極度のロリコンなんだよな……。

「HRを始めるぞ。みんな席につけー」

さて、今日はどんな一日になるかな……?
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