龍は雲に従う

□第六章〜終幕〜
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さらに重くなった雰囲気を、とうとう光元は無視することにした。どうやら話題転換でもしない限り、この空気は軽くなりそうにないようだ。

「いきなり本題に入るけど、この五人で、ある大仕事をしてもらいま〜す!」
「大仕事?」

コーちゃんの問いに光元は頷いて、

「五人でこの平安京を守ってもらおうと思います!!」
「・・・はぁぁぁぁ!!??」
「…それは大仕事ですねぇ」
「明日からお願いね!五人の一緒に頑張ってください!!」

シーちゃんは静かに頷いた。しかしコーちゃんは首を横に振る。

「嫌だね!な、なんで俺がやらないといけねぇんだ!?平安京の守護だと!?知るか!!俺は生涯独り身で生きるん―――」
「コーちゃん!!」

光元はコーちゃんを捕獲する前、随分彼のことを調べあげた。そして、光元は彼が独り身でいたい理由を知っている。
しかし、一番仲間を欲しているのも彼なのだとも知っている。ただ自分に素直になれないだけで。ならないだけで。そしてそのことに自分さえ気付いていないだけで…。
だから、こういう者には無理やり押し付ける。そうでもしなければ、自分の殻にこもったままで、本当に一生を過ごしかねない。
この仕事は、黄龍の為のものと言っても過言ではない。孤独ほど怖いものは無い。黄龍には、これからは仲間と生きて欲しい。だからこうする。

「命令ね、コーちゃん!」
「――っ――!!お前!手伝いしたら解放するって言ったじゃねぇか!男に二言は無ぇはずだ!!」
「言ったよ!でもコーちゃん役に立ってないし、さっき落とされた雷で危うく黒焦げになりかけたし、正直言って邪魔だったし、オマケに言えば日付なんて決めてないからいつでもいいじゃん!」

・・・・・・ハメられた。

「可哀想に・・・」

同情の色を込めてシーちゃんが呟く。


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