龍は雲に従う
□第六章〜終幕〜
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その時、こちらに向かってくる強大な力を感じた。縦に四本、横に五本の網目のような通力。これは―――。
「九字(くじ)!?」
白河がコーちゃんを放して飛びずさる。コーちゃんも白河とは逆の方向に飛ぶ。九字の通力は、今まで二人がいた場所を通り過ぎていった。そして九字の放たれた方向には―――、
「何やってるんだよ二人とも〜〜」
「光元!!」
「青月殿!!」
そして一瞬時が止まる。
「・・・・・・あ?」
なぜ光元と白河が知り合い?
きっと白河も心内では「なぜ光元とこの男が知り合い?」と疑問符を浮かべているだろう。
二人の同じ様な表情を見比べつつ光元は、
「あれ?言ってなかったっけ?」
「知るかぁ!!」
「聞いていませんねぇ」
「えぇと・・・じゃあ紹介しよう!」
光元はサッと白河に向かって手を広げて、
「こちらが一週間前に名前をつけてあげた白虎。数日前に密輸品の取引してたところを現行犯で捕まえた『白河』って人のフリをしてもらって、いろいろ調べてもらってたんだ。ほかには、妖力の高い物を買い取らせたりとか。ちなみに僕がつけてあげた名前はぁ・・・白いから『シーちゃん』!!」
「シー・・・・・・え?・・・」
この優男が?思わず出そうになった言葉を飲み込む。
光元は今度はコーちゃんの方に手を広げて、
「こっちが、昨日名前をつけてあげた黄龍。僕が一仕事終える間にシーちゃんと仲良くなってもらおうと思って『会って来い』って言ったんだけど何て間違えたんだか・・・。ちなみに名前は・・・黄金色だから『コーちゃん』!」
「コー・・・・・・ですか・・・」
この泥酔勘違い者が?思わず出そうになった言葉を飲み込む。お互いにひどい名だとは思うが笑えない。顔に浮かぶのは同情の色だ。
すっかり黙り込んでしまった二人の間をなんとか取り繕おうとして、光元は更に口を開く。
「ほ、ほかにも三人いるんだよ!朱雀で朱色の『シューちゃん』と、それから青龍で青海色の『セーちゃん』と、それから玄武で黒色の『クーちゃん』!!」
「「・・・揃いも揃って皆・・・・・・」」
もうため息しか出ない。
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