龍は雲に従う

□第四章〜龍と雲〜
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樺羅はコーちゃんの隣にやって来て、そこにだらしなくも胡座をかいて座る。そしてコーちゃんの顔を覗き込んで、

「…で、その主人のこと、どう思う?」
「ちっこくて細っこい奴」

その速攻の返答に、樺羅思わず吹き出した。口元を抑えて必死に笑いを堪えようとする。が、堪え切れずに腹を抱えて笑いだす。そんな樺羅に、コーちゃんは怪訝そうに眉をひそめて、

「…何がおかしい?」

「フフッ・・・いや黄龍、そうでなくて。もっと内面のこととか、そういうことを聞きたいんだが?ちっこくて…アーハッハッハ!」
「…そういう事かよ。そうならそうと、はっきり言いやがれ!」

しばらくして笑いの収まった樺羅は、眇めるように前を見た。広い川には時折、魚の陰が踊っている。それをみつめたまま、樺羅はおもむろに口を開いた。

「私の主人はな、やることがあべこべで、お前は何をしたいんだ?って思っていると、今までやってきたことが結果への道筋になっていたりしていて・・・『川』のような人だった。曲がりくねっていたかと思えば、それは確かに海へと繋がっていて……」
「『川』か…」

なら、光元は……、

「俺の主人は『雲』だな。人の意思を無視して物事やらせるかと思えば、人の心を読んで、そっけないけど何か胸に残るような言葉言たりして・・・。掴み所がないんだよ」
「『雲』ね・・・。お前にしてはいいこと言うじゃないか。大事にしてやれよ」
「大事にされてぇのは俺の方だ!」
「まぁまぁ、大人気ないぞ、黄龍」
「知るか!」

コーちゃんは憤激して立ち上がった。


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