設定・外伝集

□REQUIEM―力の先に―
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――第0章 神座の都市



この町の名を知らぬ者は、その日生まれた赤子くらいである。
冗句であろうが、世界にそう伝わる、神座の都市“首都アルベントール”。
人口、七二億九千七百八万人、世界人口の十分の二を締めると云われている。
豊富な資源の輸出や法の公布、物価の統制、品々の流通経路を担うにあたり、世界最大規模の先進大都市といえよう。
又、誰が始めたか聖神宗教と呼ばれる、アルベントール皇帝ルシフェルを神と讃える、狂信宗教国家でもある。国民は聖神宗教の普及に力を尽くし、全世界にその教えを広めようと努めているのだが、その為に異教との対立が絶えず、数年前までは戦争の勃発は絶え間なく発生したのだった。
しかし、戦いの度に護神将を率いる皇帝自らが戦場最前線へと赴き、ことごとく異教を伏せ、壊滅へと導いた。そして全世界はアルベントールに、いや彼自身に恐怖し、順従し、牙を剥く事もなくなった。

しかし、いずれこのアルベントールを豊かな資源ごと奪取しようと、密かに隣国らは同盟を結び、秘密裏にルシフェルの暗殺さえ目論むのであった。
世界になくてはならぬ存在の町とは言えど、出る釘は打たれるこの世界では、些かはしゃぎ過ぎたといった了見である。
だが隣国らの隠し切れぬ殺意や欲望、嫉妬の念に気付かないという程、ルシフェルは甘くはないのだった。



汚イ世界ナラ




――造リナオシテシマエ。





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