設定・外伝集

□元旦の屋根の上
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「ところでコーちゃんは初夢見た?僕はコーちゃんのお菓子を横取りしてる夢を…」
「ただ単に思い出してるだけじゃねぇか!」
「あれ?そうだっけ?」
「しらばっくれんなっ!!」

すでに前科のある光元であった。ちなみに一度や二度ではない模様。

「陰陽師の夢には何か意味があるんだよね!どういう意味かな?」
「俺に一発殴られろって意味じゃねぇか?」

暗に、食べ物の恨みは恐ろしい、と言いたいらしい。

「コーちゃんはどんな夢見た?」
「俺は…訳判らねぇ夢を見た。お前なら判るかもしれねぇって思って来たんだ」
「ふぅん。どんなの?」

コーちゃんは僅かに顔を曇らせて、

「俺は、セーが作った紫の野菜の料理を持ってなぜかでかい亀の上にある急な山を一生懸命上っていた。すると空から朱雀になったシューが襲い掛かってきてその料理を奪って行ったんだ」
「……」
「何なんだろうな、これって」
「んー、『一富士二鷹三茄子』っていうけどねー。茄子は調理されてて、富士山の代わりに仙亀、鷹の代わりに朱雀って、なんだか更にご利益ありそうだけど…どうかなぁ?」

出会うコーちゃん自身は苦労していた。きっと昨年と変わらぬ、波瀾万丈な一年の暗示だろう。

「ところで光元。お前はこんな朝っぱらから何やってんだ?」
「屋根の上に座ってる」
「それは見れば判る。座って何する気なんだよ?」

コーちゃんが追求すると光元は人差し指を立てて、

「それは勿論!初日の出を見る!…ま、陰陽寮からの命令なんだけどね。日の出の時間が天命に関わるかもしれないってさ。めんどくさいよねぇ。こんな寒い中、普通外になんかいないし」
「はははっ!新年早々陰陽師はご苦労だな」

笑うコーちゃんを、光元は軽く睨む。


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