発つ鳥跡を濁す

□第二章〜朱雀のシューちゃん〜
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「あ!逃げた!!」

飛んできた水球を全て避けた後に気付いたシューちゃん。

「ム〜、自分からやってきたくせに〜〜!絶っっっ対逃がさない!!」

彼女の頭は『初任務遂行』という言葉で一杯である。

シューちゃんは、目の高さまで両手を持ってきた。そして親指同士が触れ合う所まで合わせて握り込む。指の合間から火がチロチロと漏れ出す。シューちゃんはそれを、大きく一気に左右に開いた。
そこから出現したのは朱塗りの棒―――否、弓であった。両端は金色の弦が張られている。
それを右手に持ち、今度は左手で何かを摘まむ動作をした。途端にそこを中心とした火の線が出来上がり、火が晴れた時、そこには朱色の矢があった。真紅の矢羽はシューちゃん自らの、つまり朱雀の羽が使われている。
それは弓につがえられ、弦が引き絞られていく。
前方を駆ける標的を狙うシューちゃんの眼光は、猛禽さながらの鋭さである。


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