発つ鳥跡を濁す

□第三章〜耀〜
1ページ/4ページ

昼間に使った火気の術で全焼してしまった家の家族に、家を修復するまでの間『一期一会』という宿屋に泊まってもらう為、シューちゃんは案内役を務めた。


『一期一会』。
その名を聞いた時、シューちゃんは光元に思わず尋ねた。

「そのお宿って、すごく値段の高いお宿じゃなかったっけ〜?」

「ん?大丈夫だって。心配しなくていいから行っといで!」

明るい声で返されてもシューちゃんの心配は拭えなかったが、主の言うことなので口答えせず従った。横でコーちゃんが意味ありげにため息をついた事は見逃さなかったが…。





『一期一会』の主人、利禄紐心(りろくのじゅうしん)は暖かく迎えてくれた。それはもう、こちらが思わず怪しむほどの持て成し振りで。家を焼かれた家族達への接待はおろか、案内に来ただけのシューちゃんにまでご馳走する始末。

―――光元と紐心さんって、どんな関係なのかなぁ〜?―――

まさか未遂の武力行使(人、それを脅迫と言う)による軽度の主従関係などと、誰が考えるだろうか。もちろん、その実態を知らないシューちゃんは、

―――きっと遠縁か何かなんだろうな〜。―――

などと、とんでもない事を考えていた。


.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ