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□向日葵の約束
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「……私は、クーが好きよ。それは絶対、これから先も変わることはないわ。でも……でもね……」
セーは間を置いて、言った。
「……私、怖いの」
「怖い?」
「最近、クーの側に居るとね、もっと側に居たいって思うの。頭を撫でてもらった時もそう。もっと触れてほしい、私ももっとクーに触れたい、って思うの。……前は、こんなに執拗に……クーに迷惑がかかるようなことなんて、思わなかった……」
セーは俯く。
しかしクーは、セーが思っていることと反対の行動を取った。
急に笑い出したのだ。
「…っく、くく、……あはははっ!」
「なっ! なんで笑うのよ! 私は真剣に悩んでいるって言うのに!!」
セーはぷくっと頬をふくらませて、クーを睨んだ。
「っはは、はぁー、おっかしい……」
「どこがおかしいって言うのよー……」
「全部。だってさ、それって――――」
言いかけて、クーはセーを抱き寄せて耳元で囁いた。
「だってそれって、オレのこと大好きって証じゃん?」
「………っ……」
「オレだってセーと同じこといつも思ってるよ。もっとセーと一緒に居られないかなー、とか、ずっと抱きしめて居たいなー、とか」
「そう、なの…?」
「当たり前じゃん。セーのこと、世界で……いや、違うな。誰にも負けないくらい……オレの全てを捧げてでも、オレはセーを愛してる」
「クー……」
「セー、知ってるか? 向日葵の花言葉」
「え、知らない……」
「だろうと思った。向日葵の花言葉ってさ、『あなただけを見て』なんだって。オレはセーしか見てないし、セーしか愛せない。それを言おうと思って、今日はここへ連れて来たんだ」
『あなただけを見て』………
「クー………っ、愛してる……っ……」
「オレもだよ。これから先も、ずっと、ずっと……」
愛してる。
セー。
オレの全てを捧げてでも、
オレはセーを、
幸せにするって、誓ったんだ……。
周りに咲き誇った向日葵が二人を包んで、まるでそれは、二人を祝福しているかのようだった――――。
end