朝焼けの館

□君はsweet honey
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「階下が騒がしいな」
放課後、生徒会室で仕事をこなしていると、何やら下が騒がしい。
何気なく見てみると、テニスコートに女の人だかりだ。
「今日はバレンタインですからね、テニス部は人気がありますから」
興味のなさそうな役員が、そう返してよこす。
「そういや、机の上はチョコの山だったな」
「会長は、特別でしょう」
…特別?
名前も知らないような女に、チョコを贈られる事がそんなに名誉か。
テニス部部長、生徒会長、家柄。
それだけで女は寄ってくる。
俺の内面など関係なしに。
「ったく、いい気なもんだぜ」
目当ては忍足、鳳あたりか。
ま、レギュラー陣はそこそこに貰っているらしいが。

…ふと、あの伊達眼鏡を思う。
あいつに本命は、いるんだろうか。
モテるらしいが、特定の相手はいないと聞いた。
ああ、でもよぎったのは橙色の明るい…。

「跡部〜」
幻聴か、と思って生徒会室のドアを見ると、そこにへばりつくようにして、思い描いていた奴がいた。
「匿って、な?」
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