朝焼けの館

□サンタ捕獲大作戦
2ページ/9ページ

…とは言ったものの、ここからテニスコートまではかなりの距離がある。
そうこうしてる間に、誰かに見つかってしまう可能性だってある。
俺はひとまず、木の上に身を隠す事を決めた。
まだ気づかれていないようだが、木の下ではレギュラー陣がいったりきたり。
「長太郎!ホントにこっちで見たんだろうな?」
「すみません宍戸さん、遠目でしたけど、あの背格好は向日先輩しかいないと思います」
「つったく…どこに隠れやがったんだ、アイツは」

間違いない。
こいつらは俺をどうにかする気だ。
しかし何をされるかもわからないのに、ノコノコと出ていっていいものだろうか?
いや、よくない。
特に侑士は何か企んでる。
長い間、見続けてきた俺が言うんだから間違いない。

その時、ぱきりという小さな音がした。
聞き違いか?と思って枝の方を見ると、俺の乗っている枝にひびが入っている。
さーっと血の気が引く。
もしかして、折れる?
慌てて他の枝に移動しようとした瞬間。

『めりめりめりっ!』

音を立てて、ものの見事に枝は折れた。
「ぎゃあッ」
身体が宙に浮いて、落ちる!と思った時ふわりと受けとめた腕があった。
「え……」
「…ウス…向日先輩、捕まえ、ました」
「おぅ樺地、よくやったな」
姫抱っこ状態で抱えられている俺には、当然逃げ場なんてない。
跡部が連絡したのか、レギュラー陣もわらわらと集まってくる。
「ったく、てこずらせてくれるぜ」
「いいじゃないですか宍戸さん、こうして見つかったんですから」
これから俺をどうしようというのか。
冷や汗が伝う中、遅れて侑士がやってくる。
「おぅ、岳人。準備はええな?」

「なっ、何がだよ!俺は、〜〜〜〜〜〜!!!」
視界は、ブラックアウト。
こうして俺は、罠に落ちた。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ