朝焼けの館

□難攻不落の恋模様。
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…小春、は。
ちーとも俺の事好きじゃあらへん。
ダブルスのパートナーだから。
それだけの理由で、一緒にいるだけに過ぎん。
…いつから小春を、とか。
いつからこういう趣味になってもうたかは、もう思いだせん。
気がつけば、小春に惚れとった。
ただ……
「ただ、それだけの事やのにな…」
小春は、コート以外で触れる事を許してはくれへんかった。
見かけだけの軽口は叩く。
でもそれだけや。
小春の心には、ちーとも触れられへん。
身体が触っとったって、そんなもん空を掴むのと一緒や。
「…空…かぁ」
俺にとっては小春は空気みたいなもんで、なくなったら死んでまう。
それほど、好きやのに。
「なんで落ちへんねん、アホ…」
見上げた空が、すうっと霞んだ。
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