朝焼けの館

□サンタ捕獲大作戦
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12月も終わりに差し掛かり、はく息も白くなってきたその日。
俺は休みだというのに学校へ向かっていた。
部活は引退したけれど、二年生以下は練習を続けている。
家にいたってしょうがないし、せっかくだから会いたいヤツがいた。
空は澄み切った青空。
平穏な日になるはずだった、はずなのだが。

「待てや岳人、逃がさへんで〜」
「なんで追ってくるんだよ、侑士ー!!」
何故か俺は学校内を駆け回っていた。
いるはずのない3年レギュラーが、俺を追い掛けてくるのだ。
今追ってくる侑士だけじゃない。
本来なら練習に加わっているはずの鳳、樺地、宍戸や滝まで俺を探しているようだ。
(この分だと、跡部もいるんじゃねぇ…?)
一抹の不安を抱えながら、なんとか侑士をまくと、俺は物陰に座り込んだ。
ふぅ、と息をつくてカバンの底でしゃらんと音がした。
綺麗にラッピングされたそれを軽く振ってみると、中身は壊れてはいないらしい。
ほっとしたものの、そもそも追われている理由がわからない。
こんなんじゃ、アイツの元へはたどり着けないじゃないか。
そう、これだけ渡して帰ればいいのだ。
思いついたが吉日、俺はそっと物陰から抜け出した。
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