朝焼けの館

□桜の愛し君
7ページ/8ページ




呆然と瞳を開いて、蓮二が俺を見た。
その眼によぎるは驚愕と嫌悪か。
気まずい沈黙の中、俺は蓮二の審判を待った。


「俺も……、……だ」


小さく呟いた後、蓮二がまっすぐに俺を見つめてもう一度はっきりと言った。

「俺も……弦一郎が好きだ……」
「ほ、本当か!?」
「……ああ」

頷いて、微笑む。
その細い体を思わず抱きしめて、腕の中でくすくすと蓮二が笑った。

「お前も同じ気持ちだとは思わなかった……」
「……それは俺とて同じ……」

どちらともなく、また唇を重ねる。
深く触れたそれは、蓮二の手の中にある砂糖菓子よりも甘いに違いなかった。



次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ