頂き物

□異国の友のしあわせを
2ページ/8ページ

部屋に戻って湯を浴び、夜着に着替えるとやっと体がほぐれる。
「どうぞ。お茶が入りました。」
その声と前後して花のような芳香が鼻先をくすぐる。
茶卓に用意されたのは白茶とカリンの砂糖漬けだった。
ランファンはこうしたささやかな楽しみに心を配ってくれる。

寝椅子に横たわり淹れられたお茶と少々の菓子をゆっくりと味わい眼をつむった。馴染んだ女のやわらかい声で読み上げられる親しい者からの便りは安らぎをもらたしてくれる。
公務で膨大な量の書状に目を通すので私室に戻るともう文字は見たくない。
ランファンを陰の護衛だけではく私的な補佐をする女官にして、この役をさせたのは彼女のアメストリス語の能力を錆びつかせないためでもある。
ヤオ族の郷からの内通も彼女なら安心して扱わせられる。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ