小説(鋼)

□レゾンデートル
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――かっこいい。
同性にその様な言葉を思い浮かべるのは、初めてだったかも知れない。
真っ直ぐに流れる金色の髪、すらりと伸びた背、そして凛とした瞳。
「鷹の目」――それを意味する名前を持つ、その女性は、今はまるで母親の様な表情をしている。
「痛かったでしょう」
美しい声だった。
そのひとは、私の額を白い指で撫でる。
ふと、考えてしまった。
この指は、どれ程の引き金を引き、弾丸を放って来たのだろう、と。

医師が運転する車が走り出した。
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