小説(鋼)

□苦無
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アメストリス国で賢者の石を手に入れたリンは、前帝の即後、シン国の皇帝となった。
――敵対する他家の者たちを害さずにいて下さりませんか。
それは、あの闘いの後のランファンの願いだった。彼女は真剣に張り詰めた表情で、リンに訴えた。
そしてリンは玉座で、ランファンの願いを叶えた。
当然ながら反発する部族の長や異母兄弟もいたが、様々な人物の協力を得て(少しばかりの金を握らせる事もあったが)、国内全ての民族を一つにまとめ上げる事に成功した。
現在、皇帝補佐や政治の要職には、様々な民族出身の人物が名を連ねている。
「自分などが」と、職に就く事に驚き、辞退しようとする者もいた。
しかし皇帝はこう言って、彼らを導いた。
「家柄も身分も関係無い。王は民の為に在る。民の為に王が力を尽くす。それが俺の国だ」
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