小説(鋼)

□Heart of Gold
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エドワード・エルリックが西に向かってから暫く経っていた。
昨日まで、ウィンリィ・ロックベルは機械鎧の制作に取り掛かっており、ほぼ徹夜に等しい状態だった。
そして今、ウィンリィは夢の中だ。
だが、現実は容赦しなかった。
「――ウィンリィ!」
階下から祖母ピナコが大声で呼んでいた。
「ウィンリィ!」
ウィンリィは、ゆっくりとベッドから起き上がり、寝癖がついた頭をもたげながら部屋を出た。
階段の下では、ピナコが呆れた顔をしている。
「…もう、何よばっちゃん…。あんなハードな仕事したんだから、ゆっくり寝かせてよ」
文句を言いながら階段を降りると、ピナコが溜息を吐いた。
「何度呼んだと思ってるんだい。さっさと出な」
ピナコは親指を立てた右手をくいっと動かした。
「へっ…?」
「電話だよ」
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