夢の舞台へ

□4.疼く心
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4.疼く心(Side:Goro)

ホーネッツ優勝から、7年。
あの時は本当に寿也に助けられたな…、と、メジャーに残った寿也の活躍を報じる新聞を眺め、ぼんやりと考える。
初めて出来た友達、生涯の好敵手(ライバル)、何より、無鉄砲な俺の女房役。
色々苦労をかけたなぁ、なんてつらつらと考えて。
ふと、思い出した、ニアミス。
あれは、男子寮時代か。
当時寿也とは同室で。
夕暮れ時、練習で疲れたらしい寿也が眠っていた。
夕日に照らされた穏やかな寝顔に、押し隠してた想いが暴走して。
眠ってる寿也に、口づけてしまったのだ。
すぐに正気に戻り、寿也が眠っているのを確認して、部屋から飛び出して、屋上まで逃げたっけ。
「バレてねぇよなぁ…?」
その後全く変わった様子もなかったのだから。
久々に会いてぇな…
なんて思ってもアイツは遠く、海の向こう。
仕方がないから、考えることを放棄して、週刊誌に手を伸ばした。
いずみは学校、大吾は幼稚園、薫は買い出しで家に一人だった。
ぱらぱら、とページを捲る音が誰もいないリビングに響く。
特にする事もなかったので、暇潰しだった。
その記事―――寿也のゴシップ記事を見つけるまでは。
見出しには、

『佐藤と眉村、禁断の関係!?』
と大きく書かれている。
「な、んだよ…これっ!?」
記事を読む前に思わず叫んだ時。
「ただいまぁー…って、どうしたの?」
薫が帰って来た。
「あぁ、おかえり。」
「うん。で…どうしたの?」
荷物も下ろさずに、心配そうにこちらを見ている。
「なんでもねぇよ。」
そう言って俺は薫の手から袋を取った。
「…本当?」
薫がまだ心配そうな表情をするから、
「ホントだって!」
無理矢理、笑顔をつくった。


信じたくなかったんだ。
寿也と眉村が、なんて。
真偽は定かでなくとも、こう書かれているのはそれなりに理由があるはずだ。


忘れたはずの胸の痛みが、また疼きだした。

蓋をしたはずの寿也への想いが、殻を破ってしまった。








――――――――――
また長くなってしまったorz
そろそろ終わり…と言いたいところですがとりあえずあと4話とかありそうです(^_^;)
お付き合いいただければ嬉しいです。

お読み下さりありがとうございましたm(_ _)m

3月28日 桜

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