夢の舞台へ
□2.偽りない想い
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2.偽りない想い(Side:Goro)
『おめでとう』
と言われて、ほんの少し、胸が痛んだ気がした。
でも、こいつを好きだったのは何年も前、男子寮時代だろ、って自分に言い聞かせた。
今は薫と結婚して、それで幸せなのは事実だから。
寿也もそのうち結婚して、あいつの幸せを掴む。
だから、伝えなくて良かったんだ。
幸せになってほしい、それは偽りない本心。
薫を幸せにする、この気持ちにだって嘘はない。
だから、
「サンキュー、とし。」
恋女房としては、まだまだよろしく、な。
なんて冗談めかして。
あの頃の気持ちに蓋をしたんだ。
俺も、寿也も、薫も。
幸せになれるように。
それが寿也を、薫を、そして俺を、不幸にするとは思わずに―――。