二人ぼっちのセカイノハテ

□君が還る季節2
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 時任は、盆の終わりに、帰っていった。来年また来るから、ちゃんと生きろよ、と言い残して。

          君が還る季節2

 今年もまた、夏が来た。
 暑くて暑くて、なんにもする気が起きない。これはまぁ、いつものことなのだけど。
 それでも、もうすぐ、時任に会える。そう思うと、家の中を無駄に綺麗にしたり、時任の好きなものを買い込んだり、新しいゲームを買ったりしてしまう。
 なんだか、自分でも笑えるくらい、浮かれている。もう来るかな、遅いな、なんて、子供みたい。

 『久保ちゃん、久しぶり!!』
ふわ、と空気が動く。懐かしい、声がした。
「おかえり、時任。今年も暑いね」
ああ、やっと会えた。一年、長かった。眩しい笑顔に、目を細める。
『そうだなー。もう途中で太陽に焼き殺されるかと思ったぜ。もう死んでるけど』
あちぃあちぃ、と扇ぐ真似をして、時任はクーラーのよくあたるところに座った。生前からの、彼の居場所。
「時任、何か飲む?」
前回の帰還で、幽霊も飲み食いできるし、触ることもできると知った。なんか、生きてる人間と変わりなくて、変なかんじだ。違うところと言えば、透けてるくらい。それでも、生きてる人間とは大きな違いだけれど。
『久保ちゃーん?まだかー?』
じっと時任を見つめる俺を訝るように時任が首を傾げた。
「ああ、悪い。今持ってく」
考えたって、時任は生き返りはしないのに、どうしても、やめられないんだ。生きてる人間と同じところを探すことを。

 時任が俺の様子が変だって言って問い詰めてきたから、そう答えたら、おもいっきり不機嫌な顔をされた。自分は死を受け入れてるんだから、お前がグダクダ考えるなって。生きることを考えろって。
 そんなことを言われたって、俺の生きる意味なんて、全部お前が持ってたのに。
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