雷の煌めき

□アイウタ。
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「風丸、笑わないで聞いてくれ。」
やけに真剣な表情で円堂が見つめてくる。
「なんだ…?」
その真剣さにこちらも真剣になる。
円堂の右手に左手を握られ、
「愛してる。」
円堂が囁く。
「どうした?いきなり…」
何を言い出すのかと、思わず苦笑をにじませる。
「笑わないでくれよ。」
拗ねたような、円堂。
「ごめんごめん。」
その表情にも笑ってしまう。
「それで、どうしたんだ?」
「だって、他の言葉じゃ伝えられないから。」
左手が少し強く握られる。
「小さな頃からずっと、隣に風丸がいた。」
懐かしむような表情で円堂が続ける。
「笑ってる時も、泣いてる時も。ずっと。だからさ、ありがとう、愛してる。」
左手が強く引かれ、円堂の胸に倒れ込む。
「えんど…っ」
いくら暗いとは言え、往来なのに…
強くない抵抗を無視し、円堂は更に言葉を紡ぐ。
「喧嘩もしたけど、それでも側にいてくれた。こんなサッカーバカな俺の側に。」
自覚あったのか、と内心少し驚く。
そんな胸の内など知る由もない円堂は、抱き締める腕の力を強めた。
「いつも迷惑かけてごめん。つらかったのに気付いてやれなくてごめん。」
勝手にいなくなったのは俺なのに、その事で円堂は自分を責めていたようだ。
「円堂、」
お前は悪くない、続ける前に遮られる。
「ごめんじゃ足りない。ありがとうじゃ伝えきれない。」
だから、
「愛してる。」
なのだと、円堂は言った。
「俺もだよ。」
これからは、
「悲しみも喜びも、分かち合おう。」
下ろしたままだった腕を円堂の背にまわす。
「愛してる、風丸。」
「愛してるよ、円堂。」




―――ただ泣いて笑って過ごす日々に、君と一緒に居られる事が俺の生きる意味になる。







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