花園
□桜
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桜
花が散る。
想いはつのる。
貴方を、狂おしいほどに想う。
散りはしない。
この想いだけは。
きっと、ずっと―――。
「さんぞ。」
腰に、悟空がしがみついてくる。
「…何だ?」
しがみつく腕が、少し震えている気がするのは、気のせいではないのだろう。
「…手、つないで…?」
一呼吸して、悟空が離れる。
胸のあたりで、手を握り締めていた。
俯いた表情は見えない。
腰を落とし、震える肢体をそっと抱き寄せた。
そうして、落ち着けるように、ゆっくりと背を撫で続ける。
背に回された腕に力がこもり、少しの間忍び泣く気配がした。
どうしたものだろうか、と考えつつ、髪を梳いていると、
悟空が体を離した。
反射的に、強く抱きしめると、腕の中で戸惑う気配がした。
「さん、ぞ…?」
呼びかけには応えず、ただ抱きしめる。
離してはならない、離したくないと、思った。
おずおずと、腕が背に回され、先刻ほどではないが、力がこもった。
「さんぞう。」
名を呼ばれ、背に回された腕が解ける。
正面から、視線を合わせる。
「大好きだよ。ずっと。」
泣いているような表情で、悟空は微笑んだ。
綺麗で、哀しい笑顔に、胸が痛む。
言葉を続けようと開いた唇に、軽く口付ける。
それから、眦にも、口付けを一つ。
「…三蔵。もう、大丈夫。…ねえ、三蔵。そばに、いて。そばに、いさせて。ずっと…。」
甘く、切なく呟き、悟空は三蔵に抱きついた。
来年も、再来年も、その先もずっと。
この花の下で、誓おう。
永遠の愛を。
そうして。
この花の褥で二人、永遠に眠ろう。
後書き