泉水
「ぅあっちーっ!」
開けたばかりのアイスがどんどん融けていく。
しゃくしゃく。
ソーダ味のそれは見た目は涼しいがしかしどんどん融けていく。
「垂れてんぞ」
「仕方ないじゃんかーっ」
手がべとべとだ。
何で同じ状況下で泉は涼しい顔してアイス食ってられるんだろう!
融けないやつなの?
いや、俺と同じはず!
「アイスが人を選んだんだよ」
「むっかつくー!」
「ははは」
泉は最後の一口を食べ終え、
残った棒をゴミ箱に捨てた。
俺も垂れてくるやつらに手こずりながらも完食した。
手、洗わなきゃ。
「あっついな」
「あっついねー」
アイスなんかじゃ誤魔化せない。
本格的すぎる夏。
いっそ水風呂に浸かってしまいたい気分。
「銭湯行く?」
「何でだよ」
「水風呂」
泉の眉間にしわが寄った。
「市民プール行けよ」
「人多いじゃん」
「水風呂ぐらい家で出来んだろ」
「めんどくさ」
泉の眉間のしわが深くなった。
かと思ったら扇風機の首振りを止めて風を独り占め。
「ちょっと何すんの!」
「てめーがくだんねーから余計暑いんだよ!責任取れっつーの!」
「カンケーないじゃん!」
「つーかクーラー壊れてる部屋によく人を誘えるよな!尊敬するぜ!」
「いーじゃん!愛の力で暑さを吹き飛ばそうよ!」
「まずはお前が吹き飛べよ!」
「泉のばーか!」
「うるせー暑い!近寄んな!」
「ばーかばーか!」
「ぶす!」
「ちび!」
「くそ!」
・
・
・
・
・