蒼水の零

□未来を遮る影と陰
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「勢いあまって出て来たのはいいけど……」

「まさかこんな数のリガースに囲まれるとは思ってもみませんでしたねぇ。」

悠哉たちはディアースを散策し始めてすぐにリガースの群れに囲まれてしまった。

《あれはトロールだな。手に持っている棍棒と薄緑色の体が特徴的だ。腕力は強いが動きが遅い。だが少し量が多いな……》

シエルはそう言って黙りこむ。

リガースがジリジリと迫り寄ってくる。
「よし!!まずは先手必勝だ。シエル、行くぞ!!」

《任せろ!!》

………………

…………

……



【現在】

「ハァ……ハァ…」
《お前には麗が言っていたようにゼロアーツの技のバリエーションが少ない。それを増やすには……》

ゼロアーツの力をより強く開放すること。

そして開放するにはシエルとの意思疎通……つまり志を共にすること。

「でも俺こいつと仲良くする自信ないなぁ。」

悠哉が軽く愚痴を言う。

《そんなことを言ってる場合か!!お前はどうしたいんだ?》
俺……

俺はこのリガースたちを倒したい。

そんでもってディアースも地球も救いたい。

《私もそうだ……そう……私達の志は皆同じなのだ。》

シエルの熱い思いが伝わってくる。

熱いような冷たいような感覚……

初めてゼロアーツの力を開放した時に似ている。

「由衣!!俺は今からあいつらの方へ突っ込む。援護は任せたぞ!!」

由衣は、はい、とだけ返事してまた弓を構える。

「今なら力を出せる。行くぞ!!シエル!!」

《奴らを氷漬けにしてしまえ!!》

悠哉はリガースの群れへと正面から突撃して言った。

由衣もそれに合わせて、炎の矢で背後を守っている。

(今ならどんな技があるのかもその技の使い方も手に取るように分かる。行くぞ!!まずはあいつらだ!!)

目の前には5体のリガースがいる。

「氷影刃!!」

悠哉が剣を振り下ろすと、それに合わせて氷の剣がどこからともなく現れ、次々とリガースを切り刻んでいく。

そして剣は青く光り出し、杖へと形を変えた。

「一掃しろ!!ダイヤモンドダスト!!」


周りのリガースは全て凍りついている。
白銀の世界が渦巻くなかで静かに杖を振りぬくと、凍りついたリガースたちは「パリンッ」という音をたてて氷の塵となった。
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