蒼水の零
□不変の昨日・変わりゆく明日
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「うわぁ!!」
夢がよほど怖かったのか汗でシーツが少し濡れている。
「おお、やっと起きたか!!」
聞き覚えのある声が聞こえる。
「コーチ……」
そこには水泳部のコーチの姿が…それよりここは……
「何ブツブツ言ってんだ?いやぁ驚いたよぉ。ゴールしてプールから上がったらいきなり貧血で倒れ込むんだもんなぁ!」
何を言っているんだ?
俺はゴールした覚えは無いし、それよりも貧血で倒れるなんて……
「でも惜しかったよなぁ。まぁ優勝は出来なかったけど3位は上等な成績じゃないか!よく頑張ったなぁ。」
(チッ!!今までさんざん文句ばっか言ってきたくせに、いい成績を残したらそんな態度とるのか。そんなことより…)
「俺が3位!?そんな、なんかの間違いだろ!?」
そこは唯一納得出来なかった。
確かに俺はあの時1位だった。
ダントツでな!!
どうしてそれが…
「いいや、お前は確かに3位だった。自分のことは自分がよく分かってるだろう?まぁお前には来年があるからな。それともお前やっぱり具合が悪いんじゃあ。」
でも凄いじゃないか。流石俺の育てあげた選手だと付け加えた。
「俺は優勝以外に興味はありません。体の調子は大丈夫です。心配いりません。自分のことは自分が一番よく分かってますから。今日はありがとうございました。それでは失礼します…」
悠哉はそう言い切ると、その部屋を出て行った。
コーチが途中、これだからガキは嫌いだ、とか言っていたが聞こえないふりをした。