蒼水の零
□零の覚醒
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「いっててて……なんだよあれは!!?。」
「ってここは一体どこなんだ!!?」隣には大きな湖、そして目の前には広大な草原地が広がっていた。
「ははっ、いつの時代だよ。笑わせてくれるぜ。ひょっとしたら夢か…?」ふいに笑ってみせる。だがその声はどこか不安そうである。
「ドスっ…ドスドスっドース!」地響きのような音がすぐそばで鳴り響いた。
直感的に感じた。これから何かマズいことが起こると… 悠哉はゆっくりと振り向いた。
「はぁ、今日は厄日なのかなぁ。」
悠哉がそこに見たのは、ヒレが頭や体、尾などいたるところについている。
全長は3メートルを優に越えており、顔まるで魚そのもの。鋭い牙が出ている口からは荒い息を吐いているのが、この距離でも十分分かる。
(やべえ、ここから早く逃げ出してぇけど……)
悠哉は後ろを見たが、そこにはただ湖があるだけであった。
(まさに背水の陣ってやつか…)
悠哉がそんなことを考えている間に、その半魚人のようなものはこちらに気づいたらしく、ジリジリと近寄って来た。
「ドスっ、ドドドス、ドドドっ」
(!!?)
悠哉がしばらく間合いをとっていると、その半魚人のようなものは更に息を荒げ、猛スピードで突進して来た。
(クソ、こうなったら……)
あと2、3歩というところで悠哉は湖の中へ飛び込んだ。
(おれの息はクロールをしながらでも水中で1分半は保てる。その間に遠くまで逃げてやる……)
「ガゴーーッ!!」
そんなことを考えている間にヤツはあと5メートルというところまで迫っていた。
(そうだった。あいつ魚だった。馬鹿かオレは!!)
自分の愚かさに気づいた悠哉の息はもう限界に近づいていたらしく、口から酸素が大量に溢れ出ている。
(はぁ、オレの人生これまでかぁ。まぁ悪くない人生だったよ。まぁ全国大会で優勝出来なかったのは心残りだったけど…)
その時、もう目を瞑っていた…水の中だというのに何故か暖かく感じた…
(水ってこんなに暖かいのかぁ…十年以上も浸かってきたのに、こんな暖かい所だったなんて……)
《お前は生きていたいのか……》
高い声だ。おそらく女だろう。だが女といっても厳格でしかも恐怖さえも感じるほどの声だった
(なんだこの声…やべぇ、幻聴が聞こえる。)
《そんな解答は求めていない。お前は生きたいのかと聞いている……》
(そりゃ生きたいさ、生きたいに決まってるだろ。オレにだってまだ人生を楽しむ権利がある。生きたい……)
「諦めてたまるかァァァァーーー!!!!」
《ふふっ傲慢だな。やはりまだ子供だ。》
体を暖かい青色の光が包んだ。
(息が出来る!!?あの石のおかげか…)
悠哉のそばには一際光っている青色の宝石のようなものが台座の上にあった。
石の光により敵はまだ怯んでいる。
(よし、いまだ。)悠哉はその石を手に取った。
すると手の中でその石は輝きを増し海全体と共鳴しているようであった。