メモ帳

□血だらけのラブレター
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ザリザリザリザリ

音なんて、変わらない

出てくる血も、変わらない

中の柔らかい肉も



ギアと人間の違いって何?











べしゃあ、とか、ごしゃあ、とか
音を立てて落ちた生首

最後の一体も、安らかに息を引き取った

自分の周りのギアが全員解放されたのを確認すると飛んで苦戦しているところへ


「遅い!!」
「どこで何やっていたんだ!!」



「すみません」




水の翼が血で汚れていって、俺自身は血で黒くなる。
下を向けば、髪から血が垂れる具合。
誰かに抱き締められているように、暖かかった。




「お前が遊んでいたせいで死人がいっぱい出たじゃないか!!」
「すみません。」
「心にもないことを…!!」
「お前が死ねばよかったのに」
「すみません。」
「失せろ、天泣。」
「視界に入るな」
「あいつを返せ!!」





すみません…


言葉は声になったとしても相手に伝わらず、俺は一人立ち尽くす。
下を向いて、ポツポツと雨のように降る血を見ながら、彼らの気が済むのを待つばかり。





一人、残された戦場で

見上げた空はどこまでも青く、


この血を含んだ翼で羽ばたけば、


血なまぐさいこの体を



赤い、彼の元に、

運んでくれる、そんな気がした。





だけど、そんな事、できなかった。
彼の願いを叶えるためには、
俺は、ここに。



溢れ出しそうな涙を耐え、唇を噛み締めて、本部へと足を向ける。



ねぇ、ソル





会いたいよ…
抱きしめてよ。
要らなくないっていってよ

もう、痛いのは、イヤだよ。









力が抜け、膝を付いて、大声で泣き叫んだ。

壊れそうだった、失いそうだった、このまま死体に紛れて死んでしまいたかった。



もう殴られるのはいやだった。



助けてと伸ばされた手は何も掴むことなく、

その叫びを死体以外は聞くことなく、


風もその最後の叫びを唯一の味方に運ぶことなく






泣きつかれた彼女は、


ふらりと立ち上がると、一言残して本部へと戻った。









大好きだった、彼に届け











血だらけのラブレター


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