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□キス≦手<彼
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アスカとキスをした
僕のファーストキスだった
「うっえぇーッ!!」
気紛れの行為はお互いに不快感を残した
実際にアスカは念入りな洗浄を行っている
「ただいま」
「×××さん!」
リビングに入って来た時は疲れ切った表情だったけど、僕が「おかえりなさい」って言ったら柔らかい表情で返事をしてくれた
×××さんは21歳、ネルフの人だ
でも、主な仕事はエヴァの整備
僕らが故障無くエヴァを操縦出来るのは×××さん達、整備士のお陰だ
まあ、壊して困らせてるのがほとんどなんだけど
「あら、帰ってたの」
「ただいまアスカ。随分うがいしてたみたいだけど、何かあったの?」
「えっ!?えぇ…まあ…」
「?…シンジくん」
「な、なに!?」
「シンジくんも変だな…顔真っ赤だし」
まさか『キスをしました』なんて言える訳が無く、黙って火照る顔を俯かせた
僕らの異様な空気を察し×××さんは早めの就寝を告げ、その場は解散となった
するとアスカはあっという間に部屋へと消えていった(逃げたな!)
リビングに残ったのは僕と×××さん二人
やっぱりどこか気まずい
「さて、俺も風呂に入って寝ようかな」
「あっ、あの…!」
「ん?どうした?」
「…聞かないんですか?…その…」
「シンジくんは聞いて欲しいの?」
「えっ!?いや…あの…」
「ふふ、良いんだよ無理しなくて」
彼はくしゃくしゃと髪を撫でると荷物を手に部屋へ入っていった
僕もリビングの電気を消して自室に向かった
ベッドに寝転んで最近馴染み始めた天井を見つめる
考えるのは───── 彼の温かい手
「なんでだろう…アスカとキスしたのに」
彼の手にドキドキした
彼の手が気持ち良かった
「…なんでだろう…」
彼にドキドキしてる
キス≦手<彼
(熱は集まるばかり)