小説

□☆今この時間を
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「すまん跡部、俺、実は岳人と付き合ってたんや」
 
 
「え」
 
 
「だから、別れようや、かんにんなぁ」
 
 
 
土砂降りの雨の中、一つの傘に二人の身体は雨から守られる
 
「じゃぁな、濡れんで帰るんやで」
 
傘を押し付け、
忍足は走って帰って行ってしまった、その視線の先には赤髪の小さな男の子、その傘にはいり、二人仲良く歩いていく
忍足が肩をつかみ、身体を自分の方によせ、くっついた
離れる事のない赤い糸で結ばれていた
 
 
「…っ…な、んだよ…それ」
 
抱き合ったのも、
あの笑顔も、みんな嘘だったのか
 
この傘も、二人で買ったのにな

 
 
 
がさっ
 
 
「いるか、こんな傘」
 
俺はびしょ濡れに泣きながらも何時もと同じ場所、見慣れた風景を帰った
 
バックの中までびしょ濡れだろうな
あ、そうだ、これも
帰ったら捨てないとな
 
 
二人でとったプリクラ
 
 
「跡部?」
 
「ん……じろぅ」
 
 
俺と確認すると、傘を持ち近付いてくる
傘を俺の方に向け、俺が濡れないようにしてくれた
慈郎、そんな事したらお前が濡れちまうぜ?
 
「侑ちゃんと、帰ったんじゃないの?」
 
「あぁ、まぁな」
 
 
「……」
 
慈郎の様子を確認すると、眉間にしわを寄せながら微笑んでいた
お見通し、か
傘が地面に落ちていく、俺より背が小さいくせに無理すんな
抱きしめなくていい、慈郎?お前が濡れちまうんだよ…
俺なんかの為に
 
「跡部?我慢しなくていいんだよ、」
 
 
「……くっ…ぅ……ぅぅっ…」
 
 
「よしよし、もう大丈夫」
 
 
 
悪いな、慈郎
お前もずぶ濡れになっちまって
今、今傘をさしてやるから
 
 
「…?…あ、跡部?」
 
「慈郎、ずぶ濡れじゃねーか、ほら、この傘さして帰れ」
 
 
「でもっ」
 
 
 
「いいから、俺様の言う事がきけねーのか?」
 
 
世界が
 
世界がぐらっと揺れた
地震か?
 
背中や頭には少し衝撃がはしった
 
 
「んっ……ンっ」
 
 
くちゃ…


道のど真ん中で何してんだよ
しかもこんな雨の中
 
「跡部、一人で抱え込まないで、俺が居るから」
 
 
胸を舐め、自身を触り、穴に指を入れ
 
 
「跡部っ、いれるよ?」
 
 
「狽あぁぁ!っ…んっ、じろっじろぉぉ…」

 
忍足と抱き合った記憶が流れる
 
 
「ゆ、ゆうし…んぁっ…そんなにやった、ああっ!壊れちまう!」
 
「…………」
 
 
「もっ!…イく…あああ!」
 
 
 
ドクン
 
 
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