09/23の日記

23:22
一方通行の恋愛事情22
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side:シェスカ


ずっと前に読んだ本の中では、可愛い女の子が格好良い男の人が曲がり角でぶつかって恋が始まっていた。
私もそんな素敵な恋がしたいなあ、なんて思っていたら今日本当にぶつかった。
でもそんな本の中みたいに格好良くて優しい人じゃなくて、凄く怖い人だったらどうしよう!!
そう思ったけれど、聞き覚えのある声に顔を上げたらマスタング大佐だった。
あれ、どうしたんだろう声に元気が無いような気が・・・って思ったら、大佐が泣いてる!!
怖い人に怒られるよりびっくりした。
「モテる男は辛いんですね、お気の毒に!」
「軍曹、ちょっと黙っていなさい」
大佐が、ブロッシュ軍曹とロス少尉の会話を聞いてちょっと笑ってる。
慌てて執務室(だった部屋)に連れて来たけれど、2人が居てくれて良かった。
「シェスカ、さっきはありがとう」
「え、私はそんなお礼言ってもらう程の事は・・・」
「ハクロ将軍にでも見られたら笑い話のネタにされてしまうだろうから、助かったよ」
どうしよう・・・ここは何で泣いていたのか聞いてもいいのかな。
そうじゃなきゃ、元気付けられないし。でも!あんまり深く聞いちゃいけないのかもしれないし・・・。
駄目だ、こんな所でくじけてないで頑張らないと!!
私がいつも元気が無いと、ヒューズ中佐は元気付けてくれるんだから!
「あ、あのっ!!」
「ん?」
「どうして泣い・・じゃなくて、えーと何で雨が降っていたのかなって・・・そ、そうなんです雨雲の原因が知りたい、とか!?」
わああ、全然駄目!中佐帰って来て下さい!!私が泣きたいです!!
「私でもお役に立てたらって・・・あ、言いたくなかったら言わなくていいんですっ!」
「貴女が泣いてどうするの」
「ご、ごめんなさい!!」
「・・・いや、ありがとう。君が泣く事は無い、自業自得だ」
「え?」
「絶対にバレないと思っていたんだがな」
「ええ?」
「あいつが今まで言った事を嘘だとは思わない。愛が1つだとは限らないわけだ」
「えええ?」
ま、まさかモテる事で有名な大佐が、誰かに振られた!?
相手は誰なんだろう、でも大佐を振るような人って世界中に居るの!?
「だが、やはりあいつは私より・・・」
「げ、げげげ、元気出して下さい!」
「だから、貴女が落ち着きなさい」
少尉と軍曹は分かってるのかなあ?ちょっと複雑そうな顔をしてるけど。
大佐は何だか独り言を言ってるみたい。
「ファルマンが余計な事を言わなければ、一生バレなかったんだろうがな」
悲しそうに、ふっと笑って・・・え、ファルマン?
ファルマンって、あのヴァトー・ファルマン准尉ですかあああ!?
ま、まさか・・・不倫していたのをファルマン准尉がバラしたとか!?それで関係に終止符を!?

(旦那)『あいつから全部聞いた!てめぇ、よくも俺の女房に手を出しやがったな!』
(人妻)『やめて!ロイさんを殴らないで!!何も悪くないの!!』
(大佐)『いいえ、奥さん。全て悪いのはこの私です』
(人妻)『ロイさん・・・』
(大佐)『これで終わりにしましょう。もっと早く貴女と出会いたかった・・・』

・・・きゃあああ!!ファルマン准尉なんて事したんですか!!いえ、その前に大佐も!!
「ちょっ、何だか物凄い事考えているような!?」
「軍曹、とりあえずツッコミなさい!貴女、ちょっと昼ドラの見過ぎ!!(ある意味近いけれど)」
「大佐、ヒューズ中佐を呼びましょう!!」
「ごふっ!?」
「「はあ?」」
何でだろう、大佐がコーヒーを噴いている。
「あの人はとっても優しいんです。きっと私より上手に大佐を慰めてくれます」
私は瓦礫の下から何とか無事だった電話を引っ張り出した。
「私が、中佐を呼んであげます!」
「やめてくれ―――!!元凶を呼ぶな!!」
「大佐を泣かせた相手が居るって言えば、きっとすぐに来てくれますよ!っていうか犯人半殺しにしますよ!」
「言うな、あいつが自殺する事になる!!」
何のことか分からないけれど、大佐が私にしがみついて止めてきた。
「自殺?何言ってるんですか」
「いや、気持ちだけで十分だ!!」
「軍曹、電話を取って早く!」
「はいっ!!」
ブロッシュ軍曹が、私から電話を奪うと大きく振りかぶって窓の外に電話を投げた。
「何するんですか!?」
「とりあえず、あいつだけは呼ばないでくれ!!」


→大地さんのサイトに続く(すみません、話進みませんでした!!赤めの少佐さんをどうぞ呼んであげて下さい!)

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