頂き物

□守備範囲
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俺は自分でいうのも何だが寛容だと思う。
滅多なことで怒らないし、受け止められる自信もある(ブレダは否定したが)
第一に一々怒るのも面倒だし、何となくおとなげなく見られるのが心外だからだ。
そりゃあ二十も半ばに近付きゃ、そんな考え方になるでしょうよ。
もうガキじゃねぇんだし。
親父やお袋から見ればガキかもしれねぇけど、それなりに人生経験積んでりゃ、おとなげないと思われることは心外の極みってやつだ。
例外はない。
断言してもいい。





†守備範囲†





「おはようございます」

「よう。酒は抜けたか?准尉」

「あまり飲まなかったんで、平気ですよ。ブレダ少尉は?」

「見ての通り、好調ってやつだな。風呂入ったら酒気ごと蒸発した」

「酒豪は羨ましい。私はどうも弱くて…少尉には着いていけませんよ」


朝方まで飲み明かして、翌日いつものように出勤。
夜型の体質の持ち主は、ここにいる人間の殆どがそうである。
夜行性というわけでもなく、また朝が辛いわけでもない。
睡眠時間を削ってまで酒を飲むというのは、当然のように行うことだ。
一種習慣といっても過言ではない。
三時間睡眠時間があればいいと、そんな不健康窮まりない生活をしていると、体も不思議とそちらに適応できる。


「また飲んだのか?全く、好きだな」

「いやー楽しみがそれしかないんすよ」

「それだから女性にも恵まれないんだ。いいか、楽しみはな―――」


マスタングの蘊蓄に付き合うつもりのないブレダは、生返事を返して会話を遮った。
珍しく早くに出勤して来たハボックは、ホークアイがいないのをいいことに煙草を蒸している。
どうやら残業の疲れはなさそうであり、平常となんら変わったところは見受けられない。
そんなハボックと朝の挨拶を交わし、ファルマンは迎えに座るフュリーとも挨拶をする。


「今日は珍しく遅かったですね」

「まあな。少々ごたごたしていてな」

「昨日は何時までブレダ少尉と飲んでたんですか?」

「四時過ぎまでだ。話が盛り上がってしまって…」


普段は四人で飲むのが主流だが、昨夜はハボックとフュリーが残業をしており、早めに終わらせたブレダ、ファルマンの両名だけで杯を重ねていた。
二人で飲むのは珍しいことではないが、その相手が今回は珍しかっただけのことである。
いつもはハボックを誘うのがブレダだ。




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