差し上げ物

□出る杭は、へし折る
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□SIDE:ヴァトー・ファルマン



―――非常に困った。



勿論俺の答えは決まっているが、だからと言ってそれで終わるわけでもない。
捨ててしまうわけにもいかないし、いい加減に処理すると後で厄介なことになる。
はっきりふざけたことを言うなと言ってやりたいが、そうすると後で何かされそうな気がする。
大佐みたいに、軍靴にガビョウとか入れられても嫌だ。失礼な言い方だが、面倒くさいことになった。



さて、「これ」をどうしたら良いものか。










「よお、どうした?何か悩み事か?」
「―――え?」


思考を現実に戻すと、ブレダ少尉が身体を屈めて覗き込んでいた。


「・・・いえ、大したことじゃないんですけど」
「そうか?結構大したことな顔してるぞ?」
「そんな顔に出てますか?」
「いや、顔に出てるっていうか」
「俺達だから分かるんだよ」


何故か誇らしげなハボック少尉がブレダ少尉を押しながら視界に入ってきた。


「お前の事だったら僅かな変化でも、特にこの俺が見逃すわけないだろ?」
「はあ・・・」
「事あるごとに株を上げようとするなよ」
「准尉、僕達で良ければ相談に乗りますよ?」


書類の束を机に置きながら、曹長がハボック少尉の隣に立った。顔に思いっきり「心配してます」と書いてあるな、曹長。


「あ、でも、言いたくない事だったら、言わないで下さいね?」
「いや、別にそういうわけじゃないんだけどな・・・」
「何だよ、もったいぶって」


まあ悩んでいてもどうしようもないので、3人に相談させてもらおう。3人共頼りになるし、1人で考えているより良いだろう。
そう思って、引出しから悩みの種を取り出して、机に置いた。


「悩みの種は、これなんです」
「「「『これ?』」」」
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