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□王道ネタでいってみよう
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【王道ネタでいってみよう】〜その@・事件解決後に事件発生〜SIDE:ロイ・マスタング







その日、我々はとある屋敷に来ていた。

先日軍部は派手にテロ組織とやり合い、見事に鎮圧した。
そこで、各所に点在している組織のアジトを片付けたり調査をしに来たわけだ。言ってしまえば面倒臭いが仕方ない。
我々の調査に来た建物は結構人目につかない所に立っていた。随分古びた建物で、あちこち崩れかけている。
金具が外れ掛かったドアから入り、薄暗い部屋の中を見回す。床には薬品のビンや古びた本や瓦礫が散らばっていて、歩きにくい。
歩くと、下からガラスの割れる音が聞こえてきた。

「何かごちゃごちゃしてから、足元気をつけろよ」

先頭を歩くハボックが後ろに声を掛ける。

「・・・何かよく分からねえ本が山ほどあるな」

その後ろを歩くブレダが足元の本を1冊拾い上げた。中身に見覚えがある。

「それは錬金術の本だな。私も読んだ事がある」
「こちらには兵器関係の本もあります」

私の後ろを歩くホークアイ中尉が用心深く辺りを見回しながら言った。

「魔術だとか、魔法についての言い伝えの書かれた本までありますよ」

ファルマンがランプの明かりを翳しながら応える。本は興味があるらしく、開いたページに目を通していた。

「魔法だあ?一体何やってたんだ?これじゃ何か出てもおかしくねぇ雰囲気だな」
「じょ、冗談は止めて下さいよハボック少尉〜」

その後ろを、半ばひっつくようにかなりビビりながら歩いていた曹長が涙声で言った。

「僕幽霊とか苦手なんですからあ」
「それくらいで済めば良いがな」
「た、大佐までそんなあ〜」

大きな部屋に辿りつき、散らばって中を調べる事になった。どうも、ここはアジトというよりは研究所として使われていたらしい。
何か発見があるかもしれない。しかし、辺りに散らばっている薬品や本を見る限りでは、随分と怪しい実験だったに違いない。
しばらくしらべている内に、足元に微かに見覚えのある物が目に入った。

「何かありましたか?大佐」
「ああ。中尉、見てくれ」

足元の本や器具を掻き分けると、下からは練成陣の端が見えた。

「これは・・・」
「恐らく、」
「わあッ!!」
「!?どわっ!」
「大佐!?」

その時、後ろから曹長の悲鳴が聞こえ、振り向くより早く後ろから突き飛ばされた。
中尉の声が聞こえるのと同時に、しゃがんでいていた私は顔面から床にキスするのを防ぐべく思わず地面に付いた。

―――その時、一瞬の内に床が青白く輝いた。

「・・・な、」

一瞬で血の気が引いた。まずい、非常にまずい!!
慌てて付いた手を離そうとした時、壁に大きな亀裂が何本も走った。
逃げろと叫ぶまもなく、ずどーんと派手な音を立てて我々の居た屋敷は崩れ落ちた。不思議なほどに怪我は無い。
傍に居た中尉と一緒に何とか瓦礫の下から這い出した。幸い怪我も無く、真後ろに居た曹長も引っ張り出したが、ぼろぼろと泣いている。

「ご、ごめんなさい!!僕が、躓いたりしなかったら・・・!!」
「泣くな曹長、不用意に手を付いた私が悪かった」
「おい、しっかりしろ!」

残りの3人を探そうとした時、ブレダの声が聞こえた。声のする方へ駆け寄ると、ハボックとファルマンが倒れていた。
確か、私が練成陣に手を付いた直後に光の上に居たのはこの3人だった筈だ。

「ブレダ、お前は無事か!?」
「俺の真横に居たハボが、ギリギリの所に居た俺を突き飛ばしたんですよ」
「で、この2人は?」
「さっき光った時バッチリ上に居ました」
「大佐、さっきの練成陣は一体何だったんですか?」

中尉に尋ねられたが、首を横に振った。

「分からん。一瞬で見え無かった。確かめようにも崩れてしまったのでは・・・」
「う・・・」

その時、ファルマンが僅かに呻き声を上げて動いた。





【本題に入らないまま、続く】
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