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□海の男でいってみよう
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【海の男でいってみよう】〜その@・きっかけは唐突にやってくる〜SIDE:ハイマンス・ブレダ



※激しく時期外れですが、それは目を瞑ってやってください。







それは、俺等が溜まりに溜まった(注:溜めたのは大佐だ)仕事を、連日徹夜で死ぬ気でやって机に倒れ付していた時のことだった。


「・・・に、行きたい」


大佐の、地の底から這い上がってくるような声が耳に届いた。小さすぎて、よく分からん。


「大佐〜何か言いましたぁ?」

横でハボックがこっちも死に掛けながら聞き返した。何故か煙草の煙がドクロになっている。その元気があったら無事だなお前。
すると、大佐は突然派手に椅子から立ち上がった。




「―――――海に行きたいッッ!!!」



多分、今部屋に居る人間の心(何故か元気な中尉を除く)の心は1つになっただろう。『また、何を言い出したんだこの人は』―――と。
一瞬、仕事のやり過ぎで脳細胞が破壊されたのかと思ったが、目が輝いている。本気だ。いたって正気だこの人。
何故、海なんだ。ていうか行きたいって、あんたいくつだ。

「諸君、海に行くぞ!海は男のロマンだ!!白い砂浜、照りつける太陽、恋人同士の追いかけっこ等以下省略ッ!!」

あ、やっぱ少し変だ。いや、大分変だ。特に最後。つーかこの人はそういやいつも変だ。要するに、あんた女目当てだろ。
けどあまりの眠気とダルさにもう突っ込みも放棄して、とりあえず机に突っ伏したままことの成り行きを傍観していた。

「そう思わんかね君達!!」
「いや別に「激しく思いますッ!!!」

とりあえず言うだけ言おうかと思ったら横から思いっきり遮られた。思うのかよ、ハボック!!しかも煙草の煙がハートマーク!!
だからお前分かりやす過ぎるんだよ!ていうかその労力を違う所につかってみろよ!
・・・ていうか俺、よく考えたら心の中で全力で突っ込んでたらいつもと一緒じゃねえか!?


「よし、全員で行くぞ!」

何だこの強制参加型イベントは!!発生条件は大佐に仕事をさせ過ぎることか!!???


「いいですね、皆で行ったら楽しそうですね」

行く気か?なあ、行く気なのか曹長?このメンバーで行ったら絶対何か起こるぞ?確実に面倒なことが。
え、何?バナナはおやつに入るか?小学生の遠足かお前は!!!!


「・・・私は遠慮させていただきたいのですが」

遠慮がちにファルマンが言った。

「遠慮するなよファルマン!」
「いえ、遠慮というか何というか・・・」
「恋人が愛を語らうには絶好だ!ていうか来い!よし決定!!」
「あ、愛を語らうんですか!?え、ちょっと少尉!?」

あーあ、哀れだなファルマン・・・。と来れば順番的に・・・

「ブレダ、勿論行くよな?」
「やっぱ俺か・・・はいはい、行きますよ行ってやるとも行きゃあいいんだろ!?」
「何だよ海が嫌か?」
「大いなる自然の前でのお前等の思考が嫌なんだよ!」

普通に骨休みだったらいいんだけどなあ・・・何か俺はお前等の突っ込みで終わりそうで嫌なんだよ。
大体野郎ばっかりでいってもなあー、むさ苦しいだろ?美形が居るとか居ないとかそういうの関係なく。
絶対こういうのって中尉来るわけないし・・・

「中尉、私が全て奢ろう来たまえ!」
「ご一緒致します」

ってちゅうぃいいい!!!?軽ッ!風飛んでく綿毛くらい軽ッ!あれ、俺までおかしくなってねえか!?
ていうか、即答ですか!その潔さは一体どの辺りから!!??・・・あー、訂正しよう・・・野郎共と男らしい女性、だ。
もう最後の砦の中尉が止めなきゃ終わったな・・・仕事どうすんだよ行ってる間の。


そんな感じで、俺等の旅行(?)はわずか3分で目的地から同行者まで決定した。
・・・カップラーメン一個と同じ時間だ、というのはさほど問題じゃ無い。





【とりあえず、続く】
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