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□拍手文まとめC
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『戦争を平和的に回避出来そうなインパクト』







「少尉殿、か・・・」


呼ばれ慣れた階級から昇進したが、今の所特に上手くなったものといえば氷柱落としくらいだ。
昇進と左遷が同時って複雑だよなあと思いつつ、今日も言われた通り頭上の氷柱を叩いていた。

「―――オイ、そこの糸目の新入り」

聞こえた声に首を傾げるより早く、俺の眼前に立ったのは最近上官になったブリッグズの北壁(同意語:氷の女王)

「貴様、上官の呼び掛けを無視するとは良い度胸だ」
「!?ち、違います断じてそんな事は!だた、私の事だと気付かなくて・・・」
「ほう?今私の目の前に貴様以外に糸目が居るか?」
「居ません、すみませんでした!」
「・・・少将」

少将のすぐ後ろに立った副官が、笑いを含んだ溜息を零した。

「まあいい。ところでお前に聞きたい事がある」
「何でしょうか?」

「―――貴様、スカートをはいた事があるだろう?」


「・・・は?」

それはつまり、貴方の弟君に親切と善意言う名のある意味暴力で無理やり女装をさせられた事を指すのでしょうか?

「ええいじれったい、いちいち止まるな!貴様は大総統の命令でスカートをはいたことがあるだろうと言ったのだ!」
「あ、そっちですか?」
「他にどっちがある!?あるんだろう!?」
「あります、はきましたミニスカ!」
「くそ、やはりそうか・・・。我々は丁度ドラクマと交戦中で、上手く命令が伝わらなかったからその日はミニスカをはいていない」
「はあ、それは羨ましいですね」
「馬鹿を言うな!ブリッグズは命令1つきちんと伝達出来ないと思われたら何とする!」
「え!?そ、それは別に違うんじゃ・・・」
「まして、ミニスカになれば仕事の効率が上がるというではないか」
「それは男に限っての話かと・・・」
「ブリッグズには男がどれだけ居ると思っているんだ!上がった方が良いに決まってるだろう!」
「はあ・・・」
「ブラッドレイに負けるわけにはいかない、よし我々もミニスカートだ!」
「ええ―――!?」

マイルズ少佐にフォローしてもらおうと横を見れば、少佐は口元に手を当てて何やら考え込んでいる様子だった。あれ、何か顔赤い?

「・・・私は少将の考えに依存はありません」
「えええ―――!?」

常識人だと思ってたのに!・・・多分この人、少将のミニスカが見れるならそれもいいかもしれないと天秤にかけたな。

「お、・・・恐れながら、無理だと思います」
「何が無理だ!」
「だってここブリッグズじゃないですか!あっちとじゃ気候が全然違いますって!今日外は吹雪ですよ!?死にます!」
「貴様、それでもブリッグズの兵か!大体細すぎるぞ!私の部下ならもっと食え!」
「すみません、あまり太らない体質でして・・・」
「いっそバッカニアのように機械鎧化したらどうだ?少しは逞しく見えるぞ」
「勘弁して下さい!」

ていうか死ぬ、本気で凍死する。そう思っていたのに、アームストロング少将はどんどん話を進めていった。
そして流石一枚岩ブリッグズ。このクソ寒い極寒の地だというのに―――凄い速さで計画は進んだ。
弱肉強食なのは分かる、分かるんだが・・・つまり1番上の人がボケると誰も突っ込めない。
外では吹雪が吹いてる中を、クソ寒いこの中を、スカート。上はファー付きのコートなのにミニスカ。

「・・・何が悲しくて3週連続でスカートなんてはかなきゃならないんだ・・・」
「どうした、そこの糸目」
「あ、バッカニア大・・・ぎゃあああ!!」

東方司令部時代にあの時見たアームストロング少佐や大総統のミニスカも凄まじい衝撃だったが、こっちもこっちで凄い。
その隣のマイルズ少佐は・・・うん、違う国の人のようだ。いや、確かにそうなんだがそういう意味じゃなくて。
ある意味に似合ってるというか、ああいう格好が実は正装の国なんですとか言われても信じそうだ。

「失礼な奴だな、どうだ似合うだろう?」
「分かりましたから、捲ってまで見せない下さい!!」
「しかし、この格好は冷えるな」
「だから言ったじゃ無いですかマイルズ少佐!」
「―――何をゴチャゴチャ言っている」

声に振り向いて―――思わずコメントし損なった。ああ、当たり前だけどやっぱりこの人女の人なんだよなあ。
スカートから見えるスラリと長い脚といい、顔も綺麗だしスタイルも良いし。
・・・失礼な言い方だが、性格さえああじゃなかったら引く手数多だろう。

「どうした?マイルズ」
「いえ、・・・よくお似合いです・・・」

マイルズ少佐、鼻と口を抑えて目線を剃らしている。バッカニア大尉なんて、堪えきれずに鼻血が出ている。
そうえいばここってあんまり女性居ないから、そういうのに免疫があんまり無いのだろうか。

「バッカニア、お前もか。さっきから合う奴会う奴皆鼻血を吹くぞ。効率が上がるどころか、あいつ等全員貧血だ」
「恐れながら不可抗力です」
「そうか、ブラッドレイはこれで兵士の精神面を鍛えたのだな。加えてこの寒さなら、兵も寒さにますます強くなるだろう」

流石アームストロング少将!!ただのミニスカがトレーニングに変身するとは。
この状況で、実は本人エイプリルフールのつもりだったらしいんですけどって言い難いよなあ・・・。
その時、向こうから1人の軍人が走ってきた。

「少将!ドラクマに動きが!!」
「何だと!?よし分かった、直ぐに体勢を・・・」
「「「その格好で出ないで下さい!!」」」

・・・ハボック少尉、俺もしかしたら次ぎ会う時は少しは逞しくなってるかもしれません、色々な意味で。
ちなみに、要塞に居る軍人が全員ミニスカ姿なのを見て(特にバッカニア大尉)、ドラクマの奴等は脱兎で逃げた。気持ちは分かる。
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