拍手文倉庫

□拍手文まとめC
2ページ/11ページ

『国土錬成陣無しでも、魂奪えそうなインパクト』







「今日1日、軍部は男も女も全員がミニスカートというのはどうかね?」


その日の朝、キング・ブラッドレイは主婦兼錬金術師の渾身の一発並みの威力――或いはそれ以上――の発言を投下した。
それがマスタングやハボック辺りが言っただけならスルーされていた台詞だっただろうがそれとはわけが違う。
スルーどころか、内務課が凄い速さで昼前には命令通り人数分のスカートを調達したのだ。
そして大総統直々の命令により、午後からは軍に居る人間全てがスカートをはいているという異様な光景が出来上がった。
ここから先は、そんな事態に陥った東方司令部のとある一室で繰り広げれらた出来事。


「―――何で我々までミニスカをはかねばならんのだ!!」

バン、とマスタングは両手を机に叩き付けた。ミニスカで姿で。

「確かに、中尉達美しい女性のミニスカが見れるは目の保養だ。ふととも好きの私には天国だ。・・・だが、なぜ男までなんだ!」
「軍部の男性からミニスカートにして欲しいと要望があるものの、女性だけに押し付けるのは不公平だと閣下が」

ミニスカ姿のホークアイがしれっと応えた。

「不公平も何も、ミニスカは女性の服だろう!?男のミニスカばっかり見たら保養した目が腐る!」
「大丈夫です、大佐は十分可愛いです」
「それはどういうリアクションをしたら良いんだ!?」

そのすぐ傍で、色々な表情を浮かべてブツブツ言っている4人が居た。

「あーあ、嬉しいけど複雑だよなー」
「ハボ、お前女装した時はスカート似合ってたが化粧無しでそのままだと普通に似合ってないぞ」
「あのなあ、これで俺が似合ってたらおかしいだろ!お前に言われたくねえよ!」
「まあな。さっき巡回で強盗追っかけたら腰抜かされたからなあ・・・」
「・・・何で2週連続でスカートはかなきゃならないんだ・・・」
「じゅ、准尉そんな落ち込まないで下さい」
「曹長は良いよな、かなり似合ってて・・・」
「泣かないで下さい准尉―――!!」
「大丈夫だ、お前のミニスカなら大歓迎だ!」
「何が大丈夫ですか、私は全然歓迎出来ませんよ!少尉だってするの嫌でしょう!?」
「お前のミニスカ見る為なら耐えられる!何かを得る為には同等の代価が必要なんだ!」
「こんな所で等価交換の原則持ち出さないで下さい!いつから錬金術師になったんですか!」

口々に話す部下達も、揃いも揃って同じ格好だった。
偶然東方司令部に来ていたロスとブロッシュも一緒に部屋に居た。

「スカートだけならともかく、ミニスカはないですよね。職権乱用です」
「しかし、ロス少尉のミニスカ姿が見れるなら職権乱用も大歓迎であります!」
「貴方ね・・・」

しかし、来ていたのは2人だけではない。

「これぞ男女平等・・・我輩感動!!」
「「「「「「ぎゃあああああ!!」」」」」」
「あはは、良いリアクションだなお前等」

部屋に居た男性陣の悲鳴が見事に重なった。そこには、上半身裸でピチピチのミニスカ姿の豪腕の錬金術師。丈が短すぎて色々危ない。
大事な所が見えそうで非常に危険である。さらにその後ろには、ニコニコと笑顔の親馬鹿中佐。ちなみにこっちもミニスカ。

「目が、目がああああ!」
「どうかされましたかマスタング大佐!」
「どうかするに決まってるだろ!普段より露出高過ぎだ!自重しろ少佐あああ!」
「よお、やっぱ色男は何やっても似合うな、ロイ!」
「お前もかああああ!」
「どうだ?似合うか?」
「似合う似合わんの前に、まずすね毛を剃って下さいよ!」
「後でエリシアちゃんに見せるんだ、ほーらパパは何しても格好良いだろ?ってな」
「娘さんドン引きしますよ!!」

ハボックとブレダが叫ぶが、ヒューズは陽気にケラケラ笑っていた。そんな彼の後ろから、ひょっこりとシェスカが顔を出した。
挨拶も抜きに顔を赤くしてファルマンに詰め寄る。

「ファルマン准尉ッ、私どうですかこの格好!」
「え?ああ、可愛いんじゃないか?うん似合ってるよ」
「あ、ありがとうございます!!」
「何言ってるんだお前の方が可愛いぞファルマン!」
「少尉、本気で眼科と脳外科に入って下さい!」


「―――やあ、諸君」


ピタリと、大騒ぎしていた部屋が急に静まり返った。誰もがドアを振り向けない。怖くて。

「実はエイプリルフール、つまり4月馬鹿のつもりだったのだが・・・誰も気付かなかったので言い出せなくてな」

気付くか!いつもがいつもだから本気だと思うだろ!立場考えろよ!等、部屋に居た一同は誰もが内心突っ込んでいた。

「しかし、こうなったのは私の一言が原因だ。色気は無いだろうが―――私自身この格好で責任を取ろう」

その言葉に、誰もがやっと後ろを振り向いた。

そして―――今日1番の大絶叫が、東方司令部の一室に木霊した。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ