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□王道ネタでいってみよう
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【王道ネタでいってみよう】〜そのA・王道というかお約束〜SIDE:リザ・ホークアイ
「大丈夫か!?」
「・・・大佐?」
ファルマン准尉は、頭を横に軽く振って身体を起こすと辺りを見回した。良かった、怪我もないみたいね。
「一体何が・・・ッ!?」
そして、隣に倒れているハボック少尉を見て激しく驚いている様子だった。
気持ちは分かるけれど、飛び上がるほど驚いたのには私も驚いたわ。
起き上がり、震える指で横たわるハボック少尉を指差して、口を開閉しているけれど、声がなかなか出てこない。
「・・ちょ、・・・ッ何コレ!?どういう事っすか!?」
「落ち着け、お前と一緒にさっき・・・」
「ゆ、幽体離脱!?つーか、これがドッペルゲンガー!?」
「は?」
「まさか、俺死んでる!?」
「・・・おーい?」
ブレダ少尉の声も耳に入らないらしくて、私達は4人で顔を見合わせた。それに、准尉らしくない言葉遣い。
それどころじゃないらしいファルマン准尉は、ハボック少尉の胸倉を掴み思いっきり揺さぶった。
「起きろ―――!!」
「お、おいおい、待てよ!落ち着けって、気絶してるだけだ!お前もこいつも生きてる!」
「そうですよ、落ち着いて下さい!」
「これが落ち着いてる場合かあああ!!ドッペルゲンガーは見たら死ぬんだ!」
「何言ってんだよお前!?」
「・・・ホークアイ中尉、ファルマンはあんなキャラだったか?」
「打ち所が悪かったかもしれませんね」
あの准尉が、ブレダ少尉に敬語を使っていないことに、おかしいを思った。
その時、思いっきり揺さぶられたハボック少尉が小さく呻き声を上げて目を開けた。
「起きたか!」
「・・・・・?」
そして、じっと准尉を見てそのまま固まった。
「・・・ッ!!??」
約10秒後―――ハボック少尉は声も無く飛び起きて准尉から距離を取った。私達は、わけが分からない。
「ハボ、お前どうしたんだよ?」
「准尉も、何だか変ですよ?」
「だから!」
「変って・・・」
2人は口に仕掛けて、何か引っ掛かったらしくて言葉を止める。
「・・・『ハボ』?」
「・・・『准尉』?」
「お前等、2人揃って頭は大丈夫か?」
大佐が近くにあった大き目のガラスの破片を見せると、
「「・・・ええええええッ!!??」」
・・・物凄い悲鳴を上げて顔と鏡を見合わせた。そして、自分の髪を触ったり頬を触ったりしながらパニックになっているみたい。
「・・・きっと夢ですね、おやすみなさい」
「こら、現実逃避するな!!」
言葉遣いの丁寧な方がハボック少尉で、荒っぽい方が准尉。
凄く違和感を感じるのと共に、とても嫌な予感がしてきたんだけど気のせいかしら。大佐達も同じ考えらしくて、顔が青褪めている。
「・・・大佐」
「何だね、ブレダ少尉」
「2人の言葉遣いっつーか態度・・・逆、じゃないでしょうか?」
私達の思っていた事をブレダ少尉が代表して言った。そうね、その通りよ。
だって、准尉がハボック少尉の胸倉掴んで揺さぶったりタメ口で話すなんて、初めて見たもの。
「奇遇だな・・・私もそう思っていた」
「私もです」
「僕もです」
「・・・こんな錬金術は初めてだ」
こめかみを抑えながら、大佐は1歩前に出る。
「・・・2人共、・・・念の為に我々に状況を説明して貰えるかな?」
すると、2人は手を止めてこっちを向く。
「「だから、」」
見事なまでに声が揃っていた。
「(俺・私)が(ハボック・ファルマン)なん(っす・です)よッ!!」
目をいつもより開いて大声で叫ぶ准尉と、半分涙目のハボック少尉。
・・・ちょっとギャップがあり過ぎたのと、後の事を考えて心配になったのとで、頭が痛くなってきた。
【展開読めそうなベタな感じのまま、続く】