読物

□例えばこんな愛の形
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「・・・っどど、どっから沸いて出たんだあんたあぁ―――――っ!!??」
「失礼だな!人を蛆虫みたいに言うんじゃねえ!ちゃんと窓から入った!!」
「『ちゃんと』じゃないッスよ!!せめてドアから入って下さい!!」
「―――中佐、そのとおりですぞ!!」


その声と同時にド派手な破壊音らしきものが響いたと思ったら、食堂の壁の窓の横にイキナリ立派なドアが出来た。
・・・しかも、そのドアにはそれを作ったであろう人物の肖像画が彫られていた・・・。
間違いない、錬金術だ。しかもこんな超個性的錬金術をする錬金術師は俺の知ってる限りではこの世に1人しか居ない。


「破壊の裏に創造あり!創造の裏に破壊あり!破壊と創造は表裏一体!」


そのお約束の決め台詞と同時に豪華な作りのドアが開いた。「今日はこの人まで一緒か―――!」と俺は心の中で叫んだ。


「壊して創る!!これすなわち大宇宙の法則なり!!」


凄かった。ピンク色のキラキラが飛びまくってた。


「・・・壁を壊すんじゃないアームストロング少佐!普通に今ある入り口から来きたまえ!!」


ピンクのキラキラを手で追い払いながら大佐が怒鳴った。この登場の仕方には中尉達もかなり呆れ顔だ。
しかし、俺はそんなことに気をとられている場合じゃなかった。


「おい、本当に大丈夫か?」


口を押さえたまま無言のファルマンの背中を摩り、俺が医務室に連れて行くべきかトイレに連れて行くべきか悩んだ時だった。
中佐が洗面器を落っことし、物凄い勢いで立ち上がった。何事かと思って俺達は驚いて中佐を見た。
顔はかなり真剣だった。手も震えている。



「ま、まさかファルマンお前・・・っ」


中佐に心当たりがあるのかと思い、俺達は息を呑んで次の言葉を待った。そして―――





「・・・『つわり』なのか!!??」






―――と・・・大声で叫んだのだった・・・。
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