読物

□例えばこんな愛の形
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どうして俺がこの間と全く同じ―――いや、若干それより悪いような気がしなくも無い状況に陥っているのかというと。
それを説明するには、少し前に戻らないとならない。


今日の午前の仕事もきりがついて、俺達は全員揃って食堂に飯を食べに行った。
それぞれ欲しい物頼んで、他愛も無い話をしながら普通に食べていた―――そこまでは良かった。


「―――ん?どうしたんだよ、もう喰わねえのか?」


ふと横を見たら、ファルマンの皿が半分ほど減ったところで止まっていた。
ファルマンは俺の言葉に「はい」と短く返事を返したかと思うと、それきり黙ってしまった。


「何だ?お前少食だな?」
「准尉、お腹でも痛いんですか?」


俺の隣のブレダとその隣のフュリーも気付いたらしく、声をかけた。けどファルマンは黙って横に首を振るだけで、返事をしない。
その様子に向かいに座っていた大佐も心配になったらしい。


「・・・おい、ファルマン大丈夫か?」
「顔色が優れないようですが・・・」


大佐の横の中尉の言葉に、俯いているファルマンの顔を見たら思いっきり青い。白い顔が余計に青白くなってる。
明らか具合が悪そうだ。あれ、でも午前中はそんな感じに見えなかったんだけど・・・ああくそ、早く俺、気付けよ!!


「おい、マジで大丈夫か?具合悪いのか?」
「・・・大丈夫、です」


と、言った直後にファルマンは片手で口を覆った。


「全然大丈夫じゃねえし!どうした!?」
「・・・少し、気持ち悪い、だけ・・・」
「何!?お前、少しどころじゃねえだろ!吐きそうか!?」


慌てて俺が手を伸ばそうとした時―――




「しっかりしろ、洗面器ならここにあるぞ!!」





―――ファルマンの左隣には洗面器を持ってスタンバイしてる中佐が・・・。
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