conclusion
□love you...
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届かない、
もどかしい、
この想い。
気付いてよ……
好きなのに
私の朝は、朝の人混みの喧騒の中からあの人の姿と声を見つけることから始まる。
ちらっと辺りを見回して、すぐにあの人を発見した。
今日もあの人は馬鹿みたいに大きな声で友達と話しながら登校してきた。
すぐ見つけられることに胸が高鳴るけど、あの大声にはロマンの一欠片もない。
でも、いつも私はあの人の姿を見るだけで心が熱くなる。
靴箱で一緒になった私は、毎度のことながら激しく脈打つ心臓を鎮めながら口を開いた。
「おはよ」
「おぅ、おはよ」
そう言ったかと思えば、彼はすぐに友達との会話を再開して廊下を歩いて行った。
姿が見えなくなっても声が聞こえるのでつい耳を澄ましてしまう。
あの人はいつも素っ気ない。
友達に対しては笑顔だけど、私にはあまり笑顔を向けてくれない。
つまり私は友達以下の存在。多分、クラスが同じなだけという認識だろう。
分かってはいるけど、やっぱり辛い。
あの人の世界の中に、私はいないんだ。