conclusion
□はーとびーと
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「えー!? 教えてくださいよぉー!」
当人である幸彦くんに聞いたところで適当に誤魔化されるに決まってる。
そうなると神田さんから聞くしかないのに。
「だーめ!」
「いいじゃないですかー」
神田さんの困ったような笑顔を見ながら口を尖らせていると、ふいに廊下からマスターの声が聞こえた。どうやら私を呼んでいるらしい。
「ほら、マスターのお呼びだよ」
「もう! 後で教えて下さいよ?」
じれったい思いでそう言って外に出た。
去り際に神田さんを見たら、ほっとしたような笑顔だった。
なんで秘密なんだろ? 教えてくれたっていいのに。
理不尽な感じがしながらも、マスターの元へと走った。
***
焦った。
なんであの子はあんなに好奇心旺盛なんだろう。
おまけに随分と鈍感。
幸彦くんがギターを始めた理由なんて、見てれば分かることなのに。