conclusion
□はーとびーと
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打ち上げの片付けも終わって、今度こそホントに解散。
吉岡さんたちは飲みに誘ってくれたけど、私とナッツは先に帰ることにした。
もうシャッターも閉まっている店もあるアーケードを歩いていると、ナッツが唐突に口を開いた。
「それにしてもびっくりした! まさかあんな形で明香音に会うなんて」
「だからごめんてば!」
もう終わったはずの話題を持ち出されて四苦八苦する。
「全くよ。でもまあ今回は水に流してあげる」
その言葉に胸を撫でおろす。ナッツを怒らせると後が怖い。
「にしても明香音も隅に置けないわよねー」
このぉ、と肘で突かれる。
「……何が?」
私が聞き返すとナッツは一気に変なものを見る目で私を見た。
「何がって……あんた気付いてないの?」
何を言っているのか分からず首を傾げる。
するとナッツは、その分じゃ自分のことも気付いてないわね、と意味のわからないことを呟いた。
一体なんのこと?
「あーまぁいいや。あ、私こっちだから。また来週ね」
「あ、うん、またね」
電車で帰るナッツはそう言って別れて行った。
その後、あれじゃ幸彦も大変ねーと呟く声が聞こえたような気がしたけど、気のせいということにしておいた。
なんだか最近周りの変化がめまぐるしい。
どうしてだろうと考えて、onにいるからだと思い当たる。
あそこで出会った人、あそこで働くようになってから出会った人、それが全部つながってて、今がある。
なんだかすごく不思議で素敵なことだと、静かな星空を眺めながら思った。
*2* onに集う仲間 完